猶予う(読み)イザヨウ

デジタル大辞泉 「猶予う」の意味・読み・例文・類語

いざよ・う〔いざよふ〕【猶予う】

[動ワ五(ハ四)]上代は「いさよう」》
進もうとしてもなかなか進めない。躊躇ちゅうちょする。ためらう。
「傾きかかった月の光が、―・いながら、残っている」〈芥川偸盗
進まないでとまりがちになる。停滞する。とどこおる。
「あじろ木に―・ふ浪の音けてひとりぬる宇治の橋姫」〈新古今・冬〉

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精選版 日本国語大辞典 「猶予う」の意味・読み・例文・類語

いざよ・ういざよふ【猶予】

  1. 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 ( 古くは「いさよう」。「いさ」は感動詞「いさ」と同根 )
  2. 進もうとして進めないでいる。躊躇(ちゅうちょ)する。ためらう。
    1. [初出の実例]「海が行けば 腰泥(こしなづ)む 大河原の 殖草(うゑぐさ) 海がは 伊佐用布(イサヨフ)」(出典古事記(712)中・歌謡)
    2. 「雲居なす 心射左欲比(イサヨヒ) その鳥の 片恋のみに」(出典:万葉集(8C後)三・三七二)
  3. 進まないでとまりがちになる。停滞する。とどこおる。
    1. [初出の実例]「もののふの八十氏河の網代木に不知代経(いさよふ)浪の行く方知らずも」(出典:万葉集(8C後)三・二六四)

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