率る(読み)イル

デジタル大辞泉 「率る」の意味・読み・例文・類語

いる〔ゐる〕【率る/将る】

[動ワ上一]
人を連れて行く。ひきいる。
従者ともびととしてて往きき」〈・上〉
物を身に携えて行く。
内侍所神璽しんじ宝剣ばかりをぞ、忍びてて渡させ給ふ」〈増鏡・むら時雨〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「率る」の意味・読み・例文・類語

いるゐる【率・将】

  1. 〘 他動詞 ワ行上一 〙
  2. 他の物、人を連れて行く。ひきつれる。ともなう。ひきいる。
    1. [初出の実例]「山川に 鴛鴦(をし)二つ居て 偶(たぐひ)よく 偶へる妹を 誰か威(ヰ)にけむ」(出典日本書紀(720)大化五年三月・歌謡)
    2. 「この君達をさへや、知らぬ所にゐて渡し給はむと、危し」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕霧)
  3. 物を自分の身に添えて持つ。身につけて行く。携帯する。
    1. [初出の実例]「歴たる所の国より摠へて将(ヰ)たるところの三蔵の要文、凡へて六百五十七部」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)六)

率るの語誌

人や物を引き連れる、伴うの意を表わすが、平安時代以降は、単独で用いられず、常に接続助詞「て」を伴った「ゐて」の形で、連用修飾語となったり、「奉る」を下接して用いられる。

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