率川(読み)イサガワ

デジタル大辞泉 「率川」の意味・読み・例文・類語

いさ‐がわ〔‐がは〕【率川】

奈良市を流れていた川。春日山に源を発し佐保川に注いだ。現在は地下を流れる。能登川。[歌枕
「はねかづら今する妹をうら若みいざ―の音のさやけさ」〈・一一一二〉

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精選版 日本国語大辞典 「率川」の意味・読み・例文・類語

いさ‐がわ‥がは【率川】

  1. ( 「いざかわ」とも )
  2. [ 一 ] 奈良市内を流れる川。春日山を源とし、猿沢の池の南辺を西流して佐保川に流入する。能登川。歌枕。
    1. [初出の実例]「葉根蘰(はねかづら)今為(す)る妹をうら若みいざ率去河(いざかは)の音の清(さや)けさ」(出典万葉集(8C後)七・一一一二)
  3. [ 二 ]いさがわじんじゃ(率川神社)」の略。

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日本歴史地名大系 「率川」の解説

率川
いさがわ

春日山中、春日大社東南紀伊社の南渓に発して西流、蓬莱ほうらい(鷺池)あら池を経て猿沢さるさわ池南辺を過ぎ、現在は暗渠となって三条通の南を平行して市街地を貫流大安寺だいあんじ町西方で佐保川に合流する。興福寺菩提ぼだい院付近で菩提川、率川いさがわ神社付近で子守こもり川という。

「日本書紀」に開化天皇元年、「冬十月の丙申の朔戊申に、都を春日の地に遷す。春日、此をば箇酒鵝と云ふ。是を率川宮と謂ふ。率川、此をば伊社箇波と云ふ」とあり、伊社いざ川と訓ずる。「古事記」にも「伊邪いざ河」とあり、かつては濁って発音したが、現在は「いさ川」という。

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