春日山(読み)カスガヤマ

デジタル大辞泉 「春日山」の意味・読み・例文・類語

かすが‐やま【春日山】[奈良県]

奈良市東部の山。標高497メートル。若草山の南隣に位置し、ふもとに春日大社がある。→春日山原始林

かすが‐やま【春日山】[新潟県]

新潟県上越市にある山。標高160メートル。頂上に春日山城跡がある。

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精選版 日本国語大辞典 「春日山」の意味・読み・例文・類語

かすが‐やま【春日山】

  1. [ 一 ] ( 「かすがのやま」とも ) 奈良の春日大社の後方にある山。若草山の南側にあり、御蓋(三笠)山、香山(こうぜん)、花山、芳山(ほやま)などから成る。古来神山として伐材を禁じたため、原生林におおわれる。標高四九七メートル。
  2. [ 二 ] 新潟県上越市にある山。上杉謙信の城址がある。標高一八〇メートル。

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日本歴史地名大系 「春日山」の解説

春日山
かすがやま

奈良市街地東方にあり、御蓋みかさ山東に台形状を呈す。借香かすが山・滓鹿かすか山とも書いた(万葉集)。主峰はな(四九八メートル)を中心に、南に香山こうぜん(高山)、西に御蓋山があり、これらを一括して古く春日山と称したと思われる。東大寺山堺四至図(正倉院蔵)には「南北度山峯」とみえる。春日山南麓では遣唐使が天神地祇を祀り(続日本紀)、御蓋山西麓には春日大社が鎮祭され、香山は水神の守る山として崇敬された。春日山・御蓋山は神山として狩猟・伐採が禁じられ、現在まで原始林(国特別天然記念物)植生を残し、ルーミスシジミ・鹿・ナギなど(いずれも天然記念物)の繁殖を容易ならしめている。

平安時代には山岳仏教の霊地ともなり、多くの石仏群がある。春日山一円は古代からの石材供給地として知られ、近世にも郡山築城に際し、山中の石が多量に切出されている(多聞院日記)

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改訂新版 世界大百科事典 「春日山」の意味・わかりやすい解説

春日山 (かすがやま)

奈良市東部にある山。奈良公園の東方にあって〈青垣〉をなす。前山をなすのが御蓋(みかさ)山(297m)で,この山を春日山と呼び(国土地理院地形図),その奥にある花山(498m。時には芳山(ほやま)を含めることもある)を春日奥山として区別したり,あるいはその全体を春日山と呼んだりもする。地質的には,御蓋山はその北方の若草山(三笠山)と同じ安山岩よりなる火山性の山で,花山は縞状片麻岩よりなる。御蓋山の基部は礫(れき)層よりなる台地状地形をなし,春日大社,東大寺,奈良公園,興福寺などが載っている。地形的には春日断層崖の北端をなす。春日山一帯は約1000種の植物の生育する原生林に覆われ,特別天然記念物に指定されている。またルーミスシジミの生息地として天然記念物に指定され,モリアオガエルも生息している。山内には古代からの春日山信仰を物語る小祠や石仏が多い。
執筆者:

御蓋山の西麓には藤原氏の氏神とされた春日大社が鎮座し,春日山はその神体山とされている。春日明神は藤原氏一族の権勢の確立によって氏寺である興福寺とともにその地位を高め,しばしば春日社神人,興福寺衆徒は春日大社の神木を奉じて入京し強訴を繰り返した。この神木は春日山に自生するサカキを根こぎにしたもので,神の依代であった。しかし,春日山の信仰は春日社と結び付く以前から神の鎮座する神奈備山とされていた。また水分(みくまり)の神の山として信仰され,香山から地獄谷石窟仏一帯にかけては死後魂のおもむく他界と観念されていた。このほか,春日山は遣唐使が航海安全を祈願した山であり,733年(天平5)金鷲(こんす)優婆塞良弁(ろうべん)が執金剛神悔過を修したことに代表されるように,奈良・平安時代には山岳仏教の霊地ともされた。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「春日山」の意味・わかりやすい解説

春日山
かすがやま

奈良市街地東部、御蓋山(三笠山)(みかさやま)の東にある山をさす。古くは花山(はなやま)(標高497メートル)を主峰に、南の香山(高山)(こうぜん)、西の御蓋山を含めて春日山といった。現在花山をさすこともあるが、一般に御蓋山の東に接する台地状の部分を春日山といい、東部の花山を芳山(ほやま)とともに春日奥山に含める。春日山、御蓋山は春日大社の神山として狩猟や樹木の伐採が禁じられてきたため、うっそうとした原始林(特別天然記念物)をいまにとどめ、ルーミスシジミ(国の天然記念物)やシカなどの生息地になっている。また国史跡の春日山石窟仏(せっくつぶつ)、地獄谷石窟仏のほか鶯(うぐいす)ノ滝、妙見堂、朝日観音、寝仏、首切地蔵などが点在し、春日奥山・若草山ドライブウェイが通じている。なお、春日山原始林は1998年(平成10)、世界遺産の文化遺産として登録された(古都奈良の文化財として東大寺など8社寺等が一括登録されている)。

[菊地一郎]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春日山」の意味・わかりやすい解説

春日山
かすがやま

花山ともいう。奈良市の市街地東部にある山。標高 497m。大和高原の一部が突出したもので,領家帯岩類の縞状片麻岩から成る。奈良公園の一部で,西側にある御蓋山 (三笠山) ともども春日大社の神域として伐採が禁じられてきたため樹木が茂り,約 100haに及ぶ「春日山原始林」は特別天然記念物。チョウの一種ルーミスシジミ (天然記念物) の生息地もある。奈良奥山ドライブウェーが通じ,付近には史跡の春日山石窟仏,地獄谷石窟仏,鴬塚古墳や,鶯の滝,妙見堂,首切地蔵,寝仏などがある。なお,広義には御蓋山,花山および東側の芳山を総称して春日山という。

春日山
かすがやま

新潟県南西部,上越市の北部にある山。標高 170m。標高 300m前後の難波丘陵の北東端にある一峰。中世,越後守護職として栄えた上杉氏の本城がおかれた。特に上杉謙信が北陸から関東,出羽へと勢力を拡大したときには,山麓に人口3万余を有する大城下町形成した。現在この城跡は史跡。山域は久比岐県立自然公園に属する。

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旺文社日本史事典 三訂版 「春日山」の解説

春日山
かすがやま

①戦国時代,越後国上杉氏の居城のあった山
②奈良市街の東方にそびえる5峰からなる連山
山麓は城下町を形成。現在の新潟県上越市の一部。上杉謙信の城下町として繁栄し,北は直江津に続いた。
ふもとが春日野。古代より信仰の浄地とされ,山麓に春日大社がある。

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デジタル大辞泉プラス 「春日山」の解説

春日山

東京都新宿区、花園万頭が製造・販売する銘菓。カスタードクリーム入りの円形のカステラにホワイトチョコとレーズンをのせたもの。

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事典・日本の観光資源 「春日山」の解説

春日山

(山梨県笛吹市)
山梨百名山」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の春日山の言及

【御蓋山】より

…標高293m。三笠山,御笠山とも書き,春日山の前山で,この山自体を春日山ともいう。笠を伏せたような山容をしていることからこの名がある。…

※「春日山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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