琉球の美術(読み)りゅうきゅうのびじゅつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「琉球の美術」の意味・わかりやすい解説

琉球の美術
りゅうきゅうのびじゅつ

沖縄地方で創造された美術。沖縄の美術はその地理的環境から,中国,日本本土およびタイ,ベトナムなどの南方諸国の美術の影響を受けて発展してきたが,彫刻染織漆工,陶磁の各部門で特色ある作品を生んでいる。彫刻は建造物に付属した石造彫刻が主で,15世紀の首里城の石獅子や石竜柱,石欄羽目などが主流を占めたが,第2次世界大戦の戦火でほとんど失われた。染織は中国の印花布,日本本土の友禅染などの影響を受けた紅型 (びんがた) ,藍型および南方系の技法を学んだ各種の絣織 (かすりおり) ,芭蕉布などに代表される。漆工は螺鈿沈金のほか沖縄独特の作品として,18世紀初めに創案された堆錦 (ついきん) があり,箔絵 (はくえ) も日本本土では少く,沖縄と中国に多くみられる技法である。陶磁は八重山のバナリ焼が独特の製法で知られ,本島の知花焼,古我知焼の小品のほか,洗骨を納める厨子甕 (ずしがめ) などの大作にみるべきものが多い。

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