朝日日本歴史人物事典 「田村宗立」の解説
田村宗立
生年:弘化3(1846)
明治期の洋画家。丹波国(京都府)園部近在に生まれる。本名不明。別号に月樵,十方明。安政2(1855)年京都で南画を,次いで仏画を学ぶ。文久(1861~64)の初めごろ写真に啓発され,慶応年間(1865~68)には独自の陰影表現による写実描写を生みだした。明治5(1872)年粟田口病院に勤め,ドイツ人ランゲックに油絵の画法を学び,翌年には横浜で英人ワーグマンの指導も受けた。一方,2代玄々堂松田緑山に銅版画を学び,のち石版画にも手をそめた。10年第1回内国勧業博覧会に出品し褒状を受ける。13年京都府画学校創立とともに同校で教える。明治京都洋画の先覚者のひとり。作品に「果蔬図」など。
(三輪英夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報