苗を縦横それぞれ一定の間隔で植える正条植が,明治に入って推奨されるようになり,それにともない考えだされた用具で,定規を置き苗の位置を決めるものと,植える位置を田面にしるしていくものとに大別される。前者のうちの代表的なものは,図のような三角筒の形に角材を組んだもので,長手の梁(はり)には一定間隔で印がつけられている。これを田面に置き,その印の手前に苗を植えおわるとそこを中心に手前に倒しまた植えていく。はしご形をしたものもある。後者には長さ2~3mの横木に条間に合わせ割竹を何本も打ちつけ,割竹の先で田面に線をひいて印をつけるものがある。田植定規を用いないで,一定間隔に印をつけた細びきを,田の端から端にわたして植える方法もある。現在は田植機が普及し,これらはみられなくなった。
執筆者:堀尾 尚志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報