異・殊(読み)こと

精選版 日本国語大辞典 「異・殊」の意味・読み・例文・類語

こと【異・殊】

[1] 〘形動〙
① 他と同じでないさま。相違しているさま。比較の対象を「に」で示す。→ことなる
万葉(8C後)一二・三〇九九「紫草(むらさき)を草と別(わ)く別く伏す鹿の野は殊異(ことに)して心は同じ」
日葡辞書(1603‐04)「シラハタノ カゼニ ナビクワ タダ ハクウンニ cotonarazu(コトナラズ)
② 他と一段と相違するさま。世の常でないさま。→ことに
(イ) きわだっているさま。とりたてて言うべきさま。格別。特別。
蜻蛉(974頃)下「このごろ、ことなることなし」
(ロ) 他とくらべて一きわすぐれているさま。比較の対象を「より」「に」で示す。
※天台大師和讚(10C後‐11C前)「嬰児の間の瑞想も 人より異(コト)に御座て」
[2] 〘名〙 他のもの。別のもの。口語では「ことにする」という形でだけ用いられる。→ことにする
※蜻蛉(974頃)上「細かりつるかたのあしにも、ことのこひをも削りつけて」
[3] 〘接頭〙 名詞などの上に付いて、別の、他の、などの意味をそえる。「格別」の意を含む場合もある。
古事記(712)上「上の件(くだり)五柱の神は、別(こと)天つ神
源氏(1001‐14頃)手習「法花経はさら也。こと法文なども、いと、多く読み給ふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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