疣毟(読み)いぼじり

精選版 日本国語大辞典 「疣毟」の意味・読み・例文・類語

いぼ‐じり【疣毟】

〘名〙
① (「いぼうじり」の「う」の無表記) 昆虫かまきり(蟷螂)」の異名。いもじり。
堤中納言(11C中‐13C頃)虫めづる姫君「いぼじり、かたつぶりなどを取り集りて」
洒落本・船頭深話(1802)四「おとまさんにはいぼじりは似合(にやい)ませんよ」
[語誌](1)蟷螂(かまきり)を指す語として、もっとも古いのは「イヒボムシリ」、次いで「イボムシリ」で、イボジリはこれらの変化したもの。
(2)蟷螂・蟷螂の卵にまつわる俗信・まじないにはさまざまあるが、蟷螂に疣を噛ませたり食わせたりして取り除くというまじないも、各地に見出され、中国には、蟷螂を「食疣」とする表現もある。

いぼ‐うじり【疣毟】

〘名〙 (「いぼむしり」の変化した語) 昆虫「かまきり(蟷螂)」の異名。いぼじり。
散木奇歌集(1128頃)雑下「引きかへの牛の、ことの外にちいさくて痩せて、え引かざりしかば、いほうしりとつけて笑ふほどに」

いぼ‐むしり【疣毟】

〘名〙 昆虫「かまきり(蟷螂)」の異名。いぼうじり。いぼじり。《季・秋》 〔十巻本和名抄(934頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「疣毟」の意味・読み・例文・類語

いぼじり【××毟】

《「いぼむしり」の変化した「いぼうじり」の「う」の無表記》カマキリ古名
「―、かたつぶりなどを取り集めて」〈堤・虫めづる姫君
疣毟巻」の略。

いぼ‐むしり【××毟】

カマキリ別名。この虫でさすればいぼが消えるといわれた。いぼじり。いぼうじり。 秋》「蜂ねぶる舌やすめずに―/誓子

いぼ‐うじり【××毟】

《「いぼむしり」の音変化》カマキリの古名。
「囃せば舞ひ出づる―、蝸牛かたつぶり」〈梁塵秘抄・二〉

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