精神病理学の応用領域の学問で、病誌、パトグラフィーpathographyともいう。ドイツの精神医学者メビウスP. J. Möbius(1853―1907)によって初めて使われた用語である。ドイツの精神病理学者ヤスパースは、「著名な人間の生活記録であり、精神病理学的に興味のある精神生活を調べ、精神的異常性が人間の創造性に対していかなる意義を有するかを明らかにするもの」と定義しており、また同じく精神病理学者のグルーレH. Gruhle(1880―1958)は、「ある傑出した人の異常な本質特徴とその発展を、生活と作品を基にして提出しようとする伝記の一形式」と定義している。研究方法としては、ヤスパースらの現象学派、フロイトらの精神分析学派、ランゲ・アイヒバウムW. Lange-Eichbaum(1875―1949)らの社会学派、あるいはクレッチマーらの体質生物学派などがそれぞれ独自の病跡論を展開している。日本でも第二次世界大戦後ようやく本格的な研究が現れ、1966年(昭和41)日本病跡学懇話会が発足し、現在の日本病跡学会に発展して活発な研究活動を行っている。
[春原千秋]
『野村章恒著『パトグラフィ研究』(1981・金剛出版)』▽『福島章著『天才の精神分析』(1978・新曜社)』▽『福島章著『続天才の精神分析』(1984・新曜社)』
…傑出した人物の精神病理的側面を検討し,それが彼らの創造活動に及ぼした影響や意義を明らかにしようとする研究をいい,〈病跡〉または〈病跡学〉と訳される。古代ギリシア以来の長い伝統をもつ〈天才と狂気〉論の流れを,精神医学の土壌で引きついだ形になっているが,これを19世紀の末から20世紀の初めにかけて精細な分析によって基礎づけたのはドイツの精神医学者メービウスP.J.Möbius(1853‐1907)で,〈パトグラフィー〉という用語も彼の論文《シェッフェルの病気について》(1907)のなかで初めて使われた。…
※「病跡学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新