ドイツの数学者、天文学者。プロシアのシュルプフォルタに生まれる。1813~1814年ゲッティンゲン大学のガウスの下で天文学の実習を受け、のちに彼の推薦でライプツィヒのプライセンブルク天文台長、同大学教授となった。理論天文学の面では、『惑星による星食の計算について』De computandis occultationibus fixarum per planetas(1815)で名を得た。数学者としては晩成で、彼の有名な主著『重心算法』Der barycentrische Calcul(1827)も、1843年に至って偶然師のガウスの目に留まり激賞されるような状態で、目だつことのない人柄であった。『重心算法』では重心の考えによって点の「斉次座標」を導入し、一つの平面(一般に空間)から他の平面へのアフィン変換、射影変換を考えた。その基礎は「メビウスの網」である。のちには円を円に移す変換なども考えた。裏表のない「メビウスの帯」はよく知られているが、これは彼がかなり高齢になった1858年ごろの発見であった。
[寺阪英孝]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(2012-08-9)
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