白須たたら製鉄遺跡(読み)しらすたたらせいてついせき

日本歴史地名大系 「白須たたら製鉄遺跡」の解説

白須たたら製鉄遺跡
しらすたたらせいてついせき

[現在地名]阿武町大字惣郷 白須西平

日本海岸のはぎ市に北隣する阿武町惣郷そうごうに流れ込む白須川の上流、標高五五四メートルの白須山北裾に位置する。白須川の中流域はV字渓谷をなし、遺跡は狭い河岸段丘に立地する。

昭和四三年(一九六八)、東京大学所蔵の絵巻「先大津阿川村山砂鉄洗取之図」の発見により、その存在が知られた。同四八年現地が確認され、五三年山口県教育委員会によって発掘調査がなされた。その結果をもとに、五七年たたら製鉄遺跡としてはじめて国の史跡に指定された。

江戸時代中期から幕末にかけて五度にわたる操業が行われた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「白須たたら製鉄遺跡」の解説

しらすたたらせいてついせき【白須たたら製鉄遺跡】


山口県阿武郡阿武町惣郷にある製鉄施設跡。白須山北麓を流れる白須川左岸の標高約130mの台地上に位置する、江戸時代後期の製鉄遺跡。発掘調査により、砂鉄を原料として鉄を精錬する製鉄炉のほかに、事務所や鍛冶屋、人足小屋などの付属家屋の遺構が確認された。遺跡は、東西150m、南北70mの地域にわたり、白須たたらの様子を描いた江戸時代の絵巻『先大津阿川村山砂鐡洗取之圖』の記載ともよく合致する。洋式高炉が導入される前の日本の伝統的な製鉄の歴史を理解するうえで重要として、1982年(昭和57)に国の史跡に指定された。現在、遺跡は保存のために埋め戻されている。JR山陰本線宇田郷駅から車で約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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