身体の表面から手指または手掌で適当な圧力を加えることによって,生体の変調を矯正したり,健康を増進したり,病気を治すことを目的とした療法。あんま,マッサージとともに手技三法といわれる。明治以降の西洋医学全面採用の政策により,従来のあんま術が病気の治療より慰安術に変化したため,大正初期になって,古来のあんま術に導引(呼吸と体操法),柔道活法などを用いた療術師たちが,アメリカのカイロプラクティックchiropractic(脊柱矯正療法)やオステオパシーosteopathy(整骨療法)など近代的手技療法の理論や技法をとり入れて発展させてきたものである。その手技には大別すれば次の3種がある。
(1)矯正法 脊柱や骨格のゆがみやずれを手指や手掌によって,正しい状態に戻す方法。柔道活法や近代生理学の理論をとり入れている。
(2)圧迫法 体表面を手指や手掌によって垂直に圧迫し,圧反射による生体反応を利用する方法。圧迫の程度(軽重,緩急,圧迫時間の長短など)を,患者の体質,年齢,病気の性質などによって正しく選ぶことが重要である。古法あんま,按腹術,鍼灸(しんきゆう)で使われる経絡やつぼの理論と方法がとり入れられている。
(3)運動法 関節や筋肉を他動的に運動させて血液やリンパの運行をよくし,全身のバランスを調整する方法で,導引や調息(呼吸法,静座法,ヨーガ)などをとり入れている。
指圧の適応症としては,高血圧,不眠症,神経痛,リウマチ,胃腸症,常習性便秘などがあげられているが,高熱性疾患,化膿性疾患,悪性腫瘍,その他の急性疾患は避けなければならない。
施術者は〈あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師等に関する法律〉(1947公布)によって,文部大臣の認定した学校または厚生大臣の認定した養成施設で2年以上,所定の教育を受け,都道府県知事の免許を受けなければならない。
→按摩(あんま)
執筆者:島田 隆司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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