監獄の誕生(読み)かんごくのたんじょう(その他表記)Surveiller et Punir.Naissance de la Prison

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「監獄の誕生」の意味・わかりやすい解説

監獄の誕生
かんごくのたんじょう
Surveiller et Punir.Naissance de la Prison

フランスの哲学者 M.フーコー著。 1975年刊。 J.ベンサムの考案した刑務所モデル「パノプティコン (一望監視施設) 」から着想を得たフーコーは,近代自我創出が不可視の他者に「見られる」という視線の政治学に貫かれていることを主張する。人間の身体を細分化する,見えざる視線の権力技術は,それが社会領域に応用されるとただちに規律矯正体系へと拡大する。支配者が自己を誇示するのではなく,おのれの姿を隠すことで支配の全域化と被治者の個別化を同時に行う権力技術は,近代の中央主権国家化だけでなく,家庭や学校などでの微細な日常の個人生活まで管理する全体主義的体制の論理を読解する重要な視点とされる。

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