矢古宇郷(読み)やこうごう

日本歴史地名大系 「矢古宇郷」の解説

矢古宇郷
やこうごう

鎌倉鶴岡八幡宮の社領であった中世の郷。鳩ヶ谷支台(大宮台地の南端)から綾瀬川右岸の沖積平野部にまたがる地域に位置し、現在の川口市東部から草加市西部辺りに比定される。承久三年(一二二一)八月二日の関東下知状(鶴岡八幡宮文書)に「矢古宇郷」とみえ、鎌倉幕府は鶴岡八幡宮に対してその領有を認めている。五日後、同月七日に幕府は承久の乱の戦勝祈願の報賽として「矢古宇郷司職五十余町」を鶴岡八幡宮に寄進している(吾妻鏡)。この両者を同じ内容とみて、当郷はこのとき初めて鶴岡八幡宮の社領となったとみる説がある。一方、別の内容とみて、前者は鶴岡八幡宮領として当郷を従来どおり安堵したもので、後者はそれとは別に、このとき新たに五〇余町に及ぶ当郷の郷司職が鶴岡八幡宮に寄進されたとみる説もある。

宝治元年(一二四七)七月一六日、鶴岡八幡宮九世別当の隆弁は不断大般若経の転読を始行するにあたって、当郷内の別当得分をその読経料所に充てている(吾妻鏡)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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