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地下請 じげうけ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

地下請
じげうけ

百姓請,村請ともいう。領主から課せられた荘園年貢公事を村単位で請負う制度。鎌倉時代にも行われたが,顕著になるのは南北朝時代以降,郷村制 (惣) が発達してからである。すなわち,名主地侍を中心として,荘園村落の自治組織が進み,自衛上の団結が固くなると,領主はこの結束を利用し,彼らの利権を許可したり,保護したりする一方,年貢,公事を連帯責任として村単位で請負わせた。守護勢力の侵略から年貢や所領を守ろうとする荘園領主たちの意向と,守護に対立して村落の主導権を握ろうとする名主や地侍との意向が結びつきこの制度が生れ,発達していった。

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百科事典マイペディアの解説

地下請【じげうけ】

地下とは殿上人(てんじょうびと)に対する地下の農民をさし,鎌倉時代中期〜室町時代において名主(みょうしゅ)や百姓が共同責任において荘園年貢公事(くじ)の納入を請け負う制度。
→関連項目請所

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世界大百科事典 第2版の解説

じげうけ【地下請】

中世,地下百姓といわれた農民たちの共同責任において,荘園の年貢や公事納入を請け負う制度。百姓請ともいう。地下とは本来殿上の間に昇殿する資格のないこと,またその人を意味したが,のちに京都・本所に対する地方・現地,あるいは百姓を意味するようになり,地下請の称も生まれた。1240年(仁治1)東大寺領大和国窪荘において,農民たちが百姓請所として年貢40石の納入を請け負ったのがもっとも早い例に属する。しかし鎌倉時代には紀伊国阿氐河(あてがわ)荘上村のように,百姓逃亡跡の公事課役を残留百姓の連帯責任として納入を強制的に請け負わされる例が多く,必ずしも百姓側の自主的な要求にもとづく請負ばかりではなかった。

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大辞林 第三版の解説

じげうけ【地下請】

農民たちが年貢の徴収などを領主に対して共同で請け負うこと。鎌倉中期頃から始まるが、特に室町時代、村落の自治組織(惣)の発展した畿内とその周辺地域に多くみられる。百姓請。 → 村請

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

地下請
じげうけ

荘園(しょうえん)領主に対して、荘園の百姓が年貢を請け負う制度。百姓請ともいう。荘園年貢の請負制度としては、ほかに地頭(じとう)請、代官請、守護(しゅご)請などがあったが、地下請の初見は1240年(仁治1)の東大寺領大和(やまと)国窪(くぼ)庄(奈良市窪之庄町)の事例である。これ以降、鎌倉時代には有力名主(みょうしゅ)による年貢請負が増加した。その代表的なものとして、1318年(文保2)の東寺領丹波(たんば)国大山(おおやま)荘(兵庫県篠山(ささやま)市)の事例がある。大山荘では非法代官を訴えて、その改易に成功するとともに、自らの手で検注を行い、領主との間に斗代定(とだいさだめ)(反別の年貢高の確定)をして地下請を成立させた。南北朝期以降になると、その事例が増加するだけでなく、旧来の名主に対する一般の小百姓の影響力が強まり、村落結合の役割が大きくなって、この自治的村落=惣(そう)が請負の主体となってくる。[黒川直則]

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世界大百科事典内の地下請の言及

【請所】より

…請所のはじまりは平安末期に地方国衙の在庁官人らが荘官に代わって荘園年貢を徴収して本家,領家に送ったり,源平合戦の混乱期に地方の武士が荘園の管理を委任され,年貢納入を請け負ったことにあるとされている。その成立を年代を追ってみてゆくと,当初は下司ら荘官の請負が,ついで鎌倉時代には幕府口入(くにゆう)(推薦)や私契約にもとづく地頭の請所が多数成立し,南北朝・室町時代には守護や守護代による請負,禅僧や京都の土倉,酒屋など商業高利貸資本による代官請,さらには自治的な惣結合を強めていた荘園村落の農民たちによる地下(じげ)請,百姓請さえあらわれた。 鎌倉幕府はその草創期に御家人に対する一種の恩賞として関東の荘園,たとえば武蔵国河肥荘,相模国吉田荘などの請所の権利を御家人に口入した。…

※「地下請」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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