石灰岩の化学的・物理的特性を反映して,石灰岩地帯には特殊な植物が生育する。なかでも,石灰岩地帯に限って生育する植物を石灰岩植物という。日本の代表的な石灰岩地帯は,北上山地,秩父山地,南アルプス,伊吹山系,岡山県阿哲地方,広島県帝釈峡,山口県秋吉台,徳島県剣山,高知県石立山,熊本県人吉地方などである。これらの地域はそれぞれに各種の石灰岩植物を有している。イチョウシダは北半球の温帯に広く分布する石灰岩植物であるが,多くの種ではふつう分布域はせまく,1山系に固有であるものが少なくない。たとえば,キバナコウリンカやチチブイワザクラは秩父地方,カワラウスユキソウやシライワコゴメグサは南アルプス,イワヤクシソウやヤマトレンギョウは阿哲地方,ヤハズマンネングサは高知県にそれぞれ固有である。また,チチブミネバリは北上山地と秩父地方に,キンモウワラビやイワツクバネウツギは本州・九州間の各所に分布する。
執筆者:清水 建美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
石灰岩上に多く生え、他の基岩上には少ないか、あるいはまったくみられない植物。石灰岩の風化した土壌は一般に富養で豊かな植生をもつが、石灰岩植物は主として母岩上に直接生える植物であるため、これら土壌に生える植物とは区別される。石灰岩の岩壁や岩礫(がんれき)地では石灰岩の化学作用と物理作用が強く働いて一般の植物が生えにくく、高いアルカリ性と乾燥に対する耐性をもつ植物のみが生育しうる。しかし、石灰岩上にのみ生える絶対的石灰岩植物はごく少数で、多くのものは条件によっては非石灰岩地にもよく育つ。たとえば、チョウノスケソウは石灰岩地にとくに多いが、火山岩上にもよく生える。石灰岩植物としては、イワツクバネウツギ、ジョウロウホトトギス、チョウシダ、タチデンダ、イシバイゴケなどがあげられる。
[大場達之]
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