チョウノスケソウ(読み)ちょうのすけそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョウノスケソウ」の意味・わかりやすい解説

チョウノスケソウ
ちょうのすけそう / 長之助草
[学] Dryas octopetala L. var. asiatica Nakai

バラ科(APG分類:バラ科)の常緑小低木。茎はよく分枝し、地表をはう。葉は単葉で柄がある。小葉は広楕円(こうだえん)形で革質、裏面は白綿毛が密生し、縁(へり)に鋸歯(きょし)がある。7~8月、5~10センチメートルの花柄に径約2センチメートルの白色花を1個開く。花弁は8、9枚。花期後、花柱は3~4センチメートルに伸長して尾状となり、長い毛をもつ。果実痩果(そうか)。中部地方、北海道の高山に生え、朝鮮半島、ウスリー、樺太(からふと)(サハリン)、千島に分布する。名は、本種の発見者須川長之助(ちょうのすけ)(ロシアの植物学者マクシモビチの採集に協力した)を記念してついた。チョウノスケソウ属は北半球の高山や寒帯に2、3種あり、氷河時代の残存植物として有名である。

[鳴橋直弘 2020年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チョウノスケソウ」の意味・わかりやすい解説

チョウノスケソウ(長之助草)
チョウノスケソウ
Dryas octopetala

バラ科の常緑低木で,高山の草地に生える。北海道,本州の高山をはじめ北半球の冷温帯や高山帯に広い分布をもち,日本や東アジアのものを変種として D. octopetala var. asiaticaとすることもある。葉は質が厚く,楕円形で長さ1~2cm,表面は濃緑色であるが,裏面は綿毛があり白い。夏に,径 2cmほどのウメに似た白色の美花をつける。果実は痩果で白毛があり,花柱が花後に伸長して長さ 3cmもの羽毛状となり美しい。和名はロシアの植物学者 K.I.マクシモビッチに日本の植物を送っていた,岩手県の採集家須川長之助にちなんだものである。

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