最新 地学事典 「磁区構造」の解説
じくこうぞう
磁区構造
magnetic domain structure
微視的な磁化(スピン)の方向がそろうことで自発磁化(spontaneous magnetization)を形成している強磁性体内部の小区域を磁区という。強磁性体がある程度大きくなると,静磁エネルギー(magnetostatic energy)を小さくするために内部が磁区に分割され,その境界を磁壁(magnetic domain wall)という。どのような磁区構造をとるかは,静磁エネルギー,磁壁エネルギー,異方性エネルギーの分布によって決まる。磁区が一つのものを単磁区(SD)構造(single-domain structure),複数のものを多磁区(MD)構造(multidomain structure)という。多磁区構造でも粒径が小さいときには,磁気的には単磁区構造のようにふるまう場合があり,擬似単磁区(PSD)構造(pseudosingle-domain structure)という。極端に小さな単磁区粒子は,常温でも磁化の緩和時間が1秒以下という超常磁性(superparamagnetism, SP)を示す。代表的な磁性鉱物である磁鉄鉱の場合,SPとSDの境界は約0.03µm, SDとPSDは約0.3µm, 数µm以上はMDである。磁区構造は,結晶表面を電解研磨して磁性コロイドを塗布し,ビッター図形(Bitter pattern)を観察したり,あるいは磁気カー効果(magnetic Kerr-effect)や磁気力顕微鏡(magnetic force microscope)で観察できる。また,磁化履歴曲線から磁区構造を推定できる。参考文献:近角聡信(1984) 強磁性体の物理(下),裳華房
執筆者:鳥居 雅之
参照項目:擬似単磁区構造
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

