磁気浮上(読み)ジキフジョウ(その他表記)magnetic levitation

デジタル大辞泉 「磁気浮上」の意味・読み・例文・類語

じき‐ふじょう〔‐フジヤウ〕【磁気浮上】

磁力による反発力または吸引力を利用して、物体空中に浮上させること。鉄と電磁石、電磁石どうし、永久磁石と電磁石などを組み合わせ、その反発力や吸引力を調節することで、一定の浮上高を得る。リニアモーターカーをはじめとする磁気浮上式鉄道が実用化されている。マグレブ(maglev)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「磁気浮上」の意味・わかりやすい解説

磁気浮上
じきふじょう
magnetic levitation

磁界の力によって物体を浮上させること。一般に磁気浮上として実用化されているものは、磁気吸引力を利用している。磁気吸引力は距離の2乗に反比例するので、浮上体との距離が一定になるように磁気力を制御する。そのため、電磁石に流れる電流を精密に制御する必要がある。磁気浮上システムは、鉛直方向に磁気吸引力で浮上力が生じるような構造となっている。なお、同極の磁石により発生する磁気反発力では安定して磁気浮上しないという、サミュエル・アーンショーSamuel Earnshaw(1805―1888)による「アーンショーの定理」が知られている。

 このほか、超伝導体マイスナー効果により「完全反磁性体」(透磁率がゼロ)となる。そのため、外部からの磁場が内部に侵入できないので浮上する。この浮上はピン止め効果とよばれており、安定に静止する。

 磁気浮上式鉄道(マグレブ=Maglev:magnetically levitated vehicleとよばれることがある)や超伝導磁気軸受では超伝導を使っているが、これはマイスナー効果を利用したものではなく、強磁場をつくるため大電流を流す電磁石を実現するためである。

[森本雅之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「磁気浮上」の意味・わかりやすい解説

磁気浮上
じきふじょう
floating by magnetism

磁力の反発力を利用して物体を浮上させる方法リニアモータカーなどに利用される。通常の電磁石を用いたものと,超伝導マグネットを用いたものがある。 JRで研究されているリニアモータカーは超伝導マグネット方式である。

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