マイスナー効果(読み)マイスナーコウカ(その他表記)Meissner effect

デジタル大辞泉 「マイスナー効果」の意味・読み・例文・類語

マイスナー‐こうか〔‐カウクワ〕【マイスナー効果】

超伝導状態にある物質外部から磁界を加えると、物質内部磁束が零になる現象超伝導体が完全な反磁性をもつことによる。このため、超伝導体に近づけた磁石は、磁力線をはじき返されて空中に浮く。1933年ドイツの物理学者マイスナー(W.Meissner)が発見

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マイスナー効果」の意味・わかりやすい解説

マイスナー効果
マイスナーこうか
Meissner effect

超伝導の磁気的性質を特徴づける現象。超伝導体を弱い磁場中で冷却してゆくとき,超伝導転移温度 (臨界温度) 以下では磁束が超伝導体の外へ追出されて完全反磁性になる性質をマイスナー効果という。 1933年 W.マイスナーと R.オクセンフェルトによって発見された。超伝導を特徴づける完全電気伝導性のみでは,この効果を説明できない。超伝導体に磁場をかけると,加えた磁場をちょうど打消すように超伝導電流が表面を流れる。この表面電流が流れる層の厚みと同じ程度に磁束が超伝導体にしみこむ。この層の厚みを浸入長という。浸入長は絶対零度では数十 nmであるが,温度とともに増大し,転移温度に近づくに従って長くなる。磁場を強くすると,超伝導状態は破壊される。図に超伝導の磁化を磁場の関数として示す。ニオブバナジウム以外の純粋物質の超伝導体を第一種超伝導体といい,臨界磁場 HC までマイスナー効果を示し,HC で常伝導状態に一次転移する。ニオブ,バナジウム,および他の合金化合物の超伝導体を第二種超伝導体という。下部臨界磁場 HC1 まではマイスナー領域であるが,HC1 をこえると磁束が磁束量子として超伝導体に入る。上部臨界磁場 HC2 までの間を混合状態という。混合状態は HC2 で常伝導状態へ二次転移する。 HC は物質により異なるが,大きなもので 10-2 T程度である。適当な合金や化合物の第二種超伝導体では HC2 が非常に大きいので,超伝導磁石などに利用される。

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改訂新版 世界大百科事典 「マイスナー効果」の意味・わかりやすい解説

マイスナー効果 (マイスナーこうか)
Meissner effect

超伝導体を磁場の中においても超伝導体の内部には磁場が入らないという現象。これは超伝導体が,磁性の分類でいうと完全反磁性を示すことを意味している。1933年にドイツのマイスナーFritz Walther Meissner(1882-1974)とR.オクセンフェルトによって発見され,定性的な説明は35年ロンドン兄弟によって,また微視的な説明は57年J.バーディーン,L.クーパー,J.R.シュリーファーによって与えられた。超伝導をになう電子対の波動関数が磁場に対して変化しにくいことに基づいて生ずる現象で,磁場を排除しているのは超伝導体の表面の数百~数千Åのところを流れ続ける超伝導電流である。完全導体(無限大の電気伝導度をもつ理想的な導体)に磁場をかけると,やはり磁場は中に入らないが,磁場をかけておいてから完全導体にした場合,磁場は中に残る。超伝導体では,磁場中で冷却して超伝導状態にしても,磁場は外に排除されるので,完全導体と超伝導体は本質的に異なる。
超伝導
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイスナー効果」の意味・わかりやすい解説

マイスナー効果
まいすなーこうか
Meissner effect

超伝導体に臨界磁場未満の磁場をかけておき、徐々に温度を下げて超伝導相転移温度になったときに超伝導体内の磁場が超伝導体外に排除される現象。マイスナーWalther Meissner(1882―1974)とオクセンフェルトRobert Ochsenfeld(1901―1993)により1933年に発見され、マイスナー‐オクセンフェルト効果または完全反磁性ともよばれる。超伝導体であるためには、電気抵抗がゼロである(完全導電性)とともに、このマイスナー効果が必要条件とされる。

 外部磁場がない状態で物質を冷却して超伝導状態になってから、外部磁場を加えると内部磁場は電磁誘導により外部磁場を打ち消すようになり、超伝導体内には磁場がない状態になる。しかしマイスナー効果は外部磁場の変化がなくても生じるため、電磁誘導では説明のつかない超伝導特有の現象である。

[山本将史 2022年7月21日]

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化学辞典 第2版 「マイスナー効果」の解説

マイスナー効果
マイスナーコウカ
Meissner effect

超伝導体に磁場を作用させたとき,臨界値以下の低磁場では,磁力線は超伝導体内部には入れず,内部は磁束密度が0の完全反磁性状態になる.これをマイスナー効果という.1933年にW. MeissnerとR. Ochsenfeldにより発見されたので,マイスナー-オクセンフェルト効果ともいう.マイスナー効果は電気抵抗ゼロとともに超伝導体を特徴づける重要な性質である.超伝導体に上部から磁石を近づけると,磁力線は超伝導体には入れないので超伝導体表面に平行に密集する.その結果,マクスウェルの応力が磁石にはたらき磁気浮上という現象が起こる.近年,この反発力の輸送機関への利用が注目されている.

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百科事典マイペディア 「マイスナー効果」の意味・わかりやすい解説

マイスナー効果【マイスナーこうか】

超伝導体が完全反磁性体としてふるまう現象。超伝導体表面の数百〜数千オングストロームのところを流れる超伝導電流が磁界をはねのけて,磁力線が超伝導体の内部に入ることができなくなり,完全反磁性体の内部では磁束密度が0となる。ドイツのF.W.マイスナーらが発見。

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法則の辞典 「マイスナー効果」の解説

マイスナー効果【Meissner effect】

超伝導状態になった金属は完全な反磁性体となるので,磁力線はその内部に侵入することはできなくなる.超伝導状態となった円盤の上に磁石をおくと,この効果のために磁力線が超伝導体を避けるようになるから,磁石が浮き上がる.よく超伝導体のデモンストレーションに利用される.

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世界大百科事典(旧版)内のマイスナー効果の言及

【超伝導】より

…超伝導体が原子よりもはるかに大きく,また電子の数が多いため,この反磁性はきわめて強いものになり,外から磁場をかけても超伝導体の中には磁場はまったく入ることができない。これをマイスナー効果といい,このような磁気的性質を完全反磁性と呼ぶ。このとき磁場を超伝導体の内部から押し出して支えているのは表面近くに生ずる電流(反磁性電流)であり,したがって,磁場をかけている間この電流は減衰することなく流れ続けていなければならない。…

※「マイスナー効果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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