示現寺(読み)じげんじ

日本歴史地名大系 「示現寺」の解説

示現寺
じげんじ

[現在地名]熱塩加納村熱塩

熱塩集落の南、熱塩五峰の一、護法ごほう山の東麓にあり、護法山と号し、曹洞宗本尊は虚空蔵菩薩。寺伝によれば、古くは五峯山慈眼寺と号し、真言宗寺院であったが、太郎丸盛次や蘆名詮盛の帰依を受けた源翁(玄翁・玄能)心昭が永和元年(一三七五)慶徳けいとく(現喜多方市)から移り、曹洞宗に改めて中興し、寺号・山号も改めて開山一世となったという。

二世広空の撰述とされる法王能照禅師塔銘(示現寺文書、以下同文書は省略)や「延宝伝灯録」「日本洞上聯灯録」などによれば、開山心昭は元徳元年(一三二九)越後の生れで、初め同国国上こくじよう(現新潟県分水町)で修行し、貞和三年(一三四七)能登総持寺に移り峨山韶碩に師事した。のちに諸国を歴遊して帰依する者多く、当寺・慶徳寺のほかに伯耆退休たいきゆう(現鳥取県中山町)・美作化生かせい(現岡山県勝山町)・下野泉渓せんけい(現栃木県烏山町)・下総安穏あんのん(現茨城県結城市)・白河郡常在じようざい(現表郷町)・出羽正法しようぼう(現山形県鶴岡市)・同国永泉ようせん(現同県遊佐町)・越後慈眼じげん(現新潟県弥彦村)などの開山となっている。ところが康応元年(一三八九)同じ峨山門派である通幻寂霊によって心昭は本山総持寺から排斥され、以後当寺に閑居、応永七年(一四〇〇)に没したという(前掲禅師塔銘、「熱塩加納村史」など)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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