改訂新版 世界大百科事典 「神経膠」の意味・わかりやすい解説
神経膠 (しんけいこう)
glia
グリアともいう。中枢神経の内部でニューロンのあいだを埋めるような細胞要素,すなわち星状膠細胞,稀突起膠細胞,小膠細胞,上衣細胞を総称する語であり,ニューログリアneurogliaという語が同義に用いられることもある。〈膠〉は接着剤としての〈にかわ〉を意味し,他の組織で結合組織が果たしている保護・支持の役割を果たしている。神経膠には,中枢神経内の毛細血管壁を完全に囲む突起を出して血液脳関門の形成にあずかるほか,毛細血管とニューロンとのあいだでの物質の移送に重要な役割を果たすもの(星状膠細胞),髄鞘形成にあずかるもの(稀突起膠細胞),変性したニューロンあるいは異物を貪食する能力の強いもの(小膠細胞)といった機能分化もある程度認められる。星状および稀突起膠細胞,さらには上衣細胞はニューロンと同じく外胚葉由来の細胞成分であってニューロンに近縁のものであるといえるが,小膠細胞は中胚葉由来であって全身の結合組織内に存在するマクロファージの一変形物とみなすことができる。
執筆者:山内 昭雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報