結合組織(読み)ケツゴウソシキ

デジタル大辞泉 「結合組織」の意味・読み・例文・類語

けつごう‐そしき〔ケツガフ‐〕【結合組織】

動物体の組織間を満たして、それらを結合・支持する組織。細胞間質(間充質)をもち、靭帯など繊維成分に富む組織のほか、軟骨血液リンパなども含めていう。結締組織結合織線維性結合組織

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精選版 日本国語大辞典 「結合組織」の意味・読み・例文・類語

けつごう‐そしきケツガフ‥【結合組織】

  1. 〘 名詞 〙けっていそしき(結締組織)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「結合組織」の意味・わかりやすい解説

結合組織
けつごうそしき

動物の各種器官にあって上皮組織、筋組織、神経組織などを互いに結び付け、それらに養分を補給するなどの役割を果たす組織をいう。すべて胚(はい)の間充織に由来するが、間充織自体も結合組織の一種とみなすことができる。成体の結合組織は繊維性結合組織、軟骨組織、骨組織(硬骨組織)、造血組織に大別される。

 繊維性結合組織は脊椎(せきつい)動物には広く存在し、狭義の結合組織とよばれ、次のように分類される。

(1)疎性結合組織 もっとも代表的な繊維性結合組織で、細胞(繊維芽細胞)は少なく、細胞間には繊維芽細胞によって産生された各種繊維(格子繊維、膠原(こうげん)繊維、弾性繊維など)とプロテオグリカン(ムコ多糖タンパク質)や糖タンパク質からなる細胞間基質が存在する。

(2)密生結合組織 疎性結合組織より膠原繊維の成分の多い結合組織で、皮膚の真皮、腱(けん)などに存在し、これらの組織に強靭(きょうじん)さを与える。

(3)脂肪組織 脂肪細胞を主成分とする結合組織で、脂肪細胞は脂肪粒を蓄積し、脂肪の貯蔵庫となる。

(4)膠様組織 特殊な繊維性結合組織で、哺乳(ほにゅう)類の臍帯(さいたい)の主要な成分であるウォートン軟肉などにみられる。星状細胞が多く含まれ、細胞間基質はコンドロイチン硫酸ヒアルロン酸、少量の膠原繊維を主成分とする。

 軟骨組織および骨組織はそれぞれ軟骨細胞と骨細胞、およびそれらの細胞が分泌する細胞間物質とからなる。細胞間物質は、軟骨組織では膠原繊維または弾性繊維と、コンドロイチン硫酸や硬タンパク質を含む軟骨基質である。一方、骨組織の骨基質は、コンドロイチン硫酸を主とするプロテオグリカンのほかに、多量のリン酸カルシウム、炭酸カルシウムを含む。軟骨組織、骨組織ともに生体の形態の維持に重要であり、硬さとともにある程度の弾力性をもっている。

 造血組織は特殊な結合組織で、多くの場合発生に伴って変化し、哺乳類では胎生期には卵黄嚢(のう)、肝臓、脾臓(ひぞう)などの中に造血組織がみられ、成体ではもっぱら骨髄とリンパ組織で血球がつくられる。一般には、胎生期に卵黄嚢などに発生した血球幹細胞が骨髄などに定着して成体の血球へと分化するものと考えられている。骨髄の造血組織では、幹細胞および分化の途上にある血球の塊が細網細胞および細網繊維の間にみられる。

[八杉貞雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「結合組織」の意味・わかりやすい解説

結合組織 (けつごうそしき)
connective tissue

結合織,結締組織ともいう。狭義には,各器官の間,各組織の間,たとえば上皮組織と筋組織の間など体のあらゆる部分の間を埋め,結合作用を営む組織をいう。真皮,皮下組織,粘膜下組織,骨膜,筋膜,腱,血管の外膜などは,すべて結合組織である。細胞が比較的まばらで,細胞間質が豊富で,そこに繊維成分が存在するのを特徴とする。結合組織に存在する細胞成分を結合組織細胞と呼ぶ。繊維芽細胞,細網細胞,組織球,形質細胞,リンパ球,脂肪細胞,肥満細胞,顆粒白血球,色素細胞などがあげられる。繊維成分としては,膠原繊維(こうげんせんい),細網繊維,弾性繊維があげられ,このほかに細胞間基質が存在する。細胞間基質は,無構造な不定形物質で,ゾルないしゲル状をなし,タンパク質や多糖類に富む。コンドロイチン硫酸,ヒアルロン酸などが含まれる。これらの成分が組み合わされて,いろいろな種類の結合組織ができあがっている。すなわち,疎性結合組織,脂肪組織細網組織,弾性組織,緻密(ちみつ)繊維性結合組織,膠様組織などがそれであり,それらを分類すると表のようになる。

 狭義の結合組織は,発生学的には間充織(間葉)mesenchymeに由来し,血管や神経を含み,異物に対して反応し,再生能力に富み,欠損しても修復しやすいのが特徴である。結合組織細胞は,色素細胞を除いて未分化間葉細胞に由来し,たがいに親戚関係にある。色素細胞だけは外胚葉に由来する。

 これに対して現在では,体を構成する組織を上皮組織,筋組織,神経組織および結合組織の四つに大別した場合の一群として,さまざまなものを含んだ広義の解釈がなされている。すなわち,すでに述べた狭義の結合組織のほか,軟骨組織,骨組織,血液およびリンパ組織をも含めて結合組織と総称する。これらのうちのあるものは体の支持機能を営むことから支持組織とも呼ばれ,結合組織と同義に扱われる。いずれも発生学的には間充織に由来しており,脊椎動物では尾芽期の体節,側板,神経襞(へき)などの中胚葉に起源をもつ。これに対して,ウニなどの腔腸動物では原腸胚期にすでに間充織細胞が出現し,骨格形成がなされる。脊椎動物の発生途上に出現し,やがて消失する脊索も広義の結合組織といえよう。
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百科事典マイペディア 「結合組織」の意味・わかりやすい解説

結合組織【けつごうそしき】

結合織,結締(組)織とも。動物の体を構成する四大組織の一つ。発生学的には間充織(間葉)に由来し,種々の器官や組織の間を結び,すきまを満たして支持する組織。おもな成分は膠原(こうげん)繊維,弾性繊維などの繊維と,繊維細胞,リンパ球,形質細胞,白血球などの結合組織細胞からなる。構成する繊維や細胞の種類により,膠様組織,細網組織,繊維性結合組織,弾性組織,脂肪組織,色素組織などを区分する。繊維性結合組織には,まばらな疎性結合組織と,密な緻密(ちみつ)結合組織があって,腱(けん),靭帯(じんたい),硬膜,強膜,真皮などは後者に属する。
→関連項目膠原病コラーゲン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「結合組織」の意味・わかりやすい解説

結合組織
けつごうそしき
connective tissue

諸種の器官の中に分布し,組織を相互に結合して支持し,一定の形態および位置を保つ役割を果す組織。通常,線維性結合組織,膠原組織,細網組織などに分類される。結合組織は中胚葉に由来し,上皮組織のように外界や内腔に面することはない。基本的には,線維芽細胞とこの細胞がつくり出した細胞間物質により成っている。

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栄養・生化学辞典 「結合組織」の解説

結合組織

 他の臓器や組織を支えたり,臓器と臓器,組織と組織などを結合させたり空隙を埋めたりしている組織.コラーゲンやエラスチンなどが主成分.

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世界大百科事典(旧版)内の結合組織の言及

【組織】より

…未分化細胞から特定の形態と機能をもった組織が分化する過程(組織分化または組織発生)の研究にも,組織培養法は有力な手段として利用されている。
【動物の組織】
 動物の組織は形態と機能から,上皮組織,結合組織,軟骨組織,骨組織,血液とリンパ,筋組織,神経組織に分けられる。また,発生学的に上記の結合組織から血液とリンパまでの5組織はすべて間充織(間葉組織)に由来する。…

※「結合組織」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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