裁判所が係属中の訴訟事件を,職権あるいは申立てにより,他の裁判所で審理させるために,そこに移すことをいう。その事件を取り扱うべきでない裁判所に事件が提起されたときにこの措置がとられることが多いが,それ以外の場合でも,他の裁判所で審理するほうがつごうがよいと認められるときには,その裁判所に移送することが認められている(民事訴訟法17条,18条,刑事訴訟法19条,332条等)。
民事訴訟では,たとえば神戸簡易裁判所に提起されるべき事件が神戸地方裁判所に提起されたり,福岡地方裁判所にしか管轄権がない訴訟が東京地方裁判所に提起された場合,被告が管轄が違う旨の抗弁を出せば,決定という裁判の形式で事件を本来の管轄裁判所に移送することになっているが(民事訴訟法16条。なお309条参照),刑事訴訟では原則として判決で管轄違いの言渡しがなされることになっており(刑事訴訟法329条),しかも土地管轄違いは被告人の申立てがあった場合にのみそのような判決がなされることとされている(331条1項)。
→裁判管轄 →判決
執筆者:井上 治典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ある裁判所に係属している事件を裁判によって他の裁判所に移すことをいう。移送にはいろいろな場合があるが、おもな例をあげると、管轄のない裁判所に訴えが提起された場合の管轄裁判所への移送(民事訴訟法16条)、関連事件の審判の分離による移送(刑事訴訟法4条、7条)、審判の便宜のための移送(民訴法17条、刑訴法19条)、簡易裁判所の裁量移送(民訴法18条、刑訴法332条)、簡易裁判所の必要的移送(民訴法19条)、上級裁判所の裁判による下級裁判所への事件の差戻し・破棄差戻し・破棄移送(民訴法307条~309条、325条、刑訴法399条、400条、412条、413条)などがある。
[大出良知]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…これらのうち,どれがどの上訴において理由としうるかについては〈控訴〉〈上告〉の項を参照されたい。 破棄,自判,差戻し,移送破棄とは,民事訴訟の上告審または刑事訴訟の控訴審・上告審が,原審の判決を取り消すことをいう(民事訴訟の控訴審では,単に取消しという)。自判とは,下級審の判決を破棄しまたは取り消した上訴審が,みずから事件について審理・判決をすることをいい,差戻しは,同様に下級審の判決を破棄しまたは取り消した上訴審が,自判せずに,事件を下級審に再審理させるために送り返すことをいう。…
※「移送」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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