改訂新版 世界大百科事典 「神道名目類聚抄」の意味・わかりやすい解説
神道名目類聚抄 (しんとうみょうもくるいじゅうしょう)
江戸初期に撰せられた神道辞典ともいうべき書。6巻。吉田神道の匹田以正(ひきたもちまさ)の撰かとみられているが不詳。1699年(元禄12)6月城西野殿某の序があり,1702年京都にて刊行,14年(正徳4)再刊,以後本書を利用した書が多い。巻一宮社,巻二神宝,巻三祭器,巻四神官服・神祇,巻五祭祀・神官,巻六雑の8部門にわけ,巻一をさらに各種社殿,鳥居,神門,祓川,御手洗,手水所,御井,御池,神木にわけるように細目に区分し,諸所に適切な図を入れ,詳細平易に解説している。その序を記した城西野殿某なる人物も不詳であるが,本文解説に《旧事本紀》《古事記》《日本書紀》《古語拾遺》《神道五部書》《令義解》《延喜式》《釈日本紀》《神代巻口訳》《日本書紀纂疏》等,多くの書を引用し,当たっているところよりして,かなり高い学識をもった人とみられ,また全体的に吉田家の行事についてふれるところの多いことから,吉田神道関係の人とみられるが,また吉田家の人ではなく吉田神道の講師的な位置にいた匹田以正の撰かとみられるのである。1902年復刻されたあと,34年佐伯有義校訂本が出版された。
執筆者:鎌田 純一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報