国指定史跡ガイド 「福沢諭吉旧居」の解説
ふくざわゆきちきゅうきょ【福沢諭吉旧居】
大分県中津市留守居町にある邸宅。福沢諭吉が少年期を過ごした旧居。この家は、中津川下流域の沖積平野にある中津城に近く、ほぼ城の東側にあって町の往来に面していた。1835年(天保5)に大坂(現大阪市)の中津藩蔵屋敷で生まれた諭吉は、1歳6ヵ月のとき父の死去により帰藩し、19歳まで中津で過ごした。木造茅葺き平屋建ての母屋は、6畳2間と8畳・4畳半などからなり、母屋の北には木造瓦葺き2階建ての土蔵がある。1971年(昭和46)に国の史跡に指定されたのは、この旧居宅跡とこれに道を隔てた隣にある以前の住居跡だが、これらの遺構は、諭吉の思想をはぐくんだ場で、著名な啓蒙思想家の住んだ所として重要であるばかりでなく、武家屋敷の遺例としても貴重なものといわれている。隣接して福沢記念館が建てられ『学問のすゝめ』の原本や遺品などを展示している。JR日豊本線中津駅から徒歩約15分。