日本大百科全書(ニッポニカ) 「秋谷七郎」の意味・わかりやすい解説
秋谷七郎
あきやしちろう
(1896―1978)
薬学者。千葉県我孫子(あびこ)に生まれる。東京帝国大学出身。薬学博士。東大で薬学科衛生・化学・裁判化学講座担当。糖質化学を中心とする生化学的研究に重点を置き、実験方法の近代化を図った。併任の東大伝染病研究所(現、医科学研究所)化学部長として医学系との協同研究に成果をあげる。警察本部科学研究所顧問の見地から、犯罪捜査の鑑定に有効な新知見や方法を発見し、鑑識技術の体系的基礎を確立する。とくに下山事件(1949)にあたって、pH曲線による死後経過時間の測定などから死後轢断(れきだん)説を主張した。東大名誉教授、東京医科歯科大学教授、同付属総合法医学研究施設長、昭和大学名誉教授。中央薬事審議会長、日本学術会議会員、日本薬学会頭その他を歴任した。
[根本曽代子]