鑑識(読み)かんしき

日本大百科全書(ニッポニカ)「鑑識」の解説

鑑識
かんしき

一般にはものの良否、真偽、異同などを見分ける識見をいう。犯罪捜査における識とは、科学的知識・技術を応用し、または組織的資料・施設を活用して、犯人を発見し、あるいは犯罪を証明する捜査機関の活動をいう。

 犯罪鑑識の業務を行う機関として次のようなものがある。中央には警察庁刑事局の鑑識課および警察庁附置の科学警察研究所がある。同課は、鑑識に関する全国的総括事務を行い、鑑識活動の指導・助言、指紋原紙の集中保管・照合を行っている。科学警察研究所には、総務部のほかに法科学第一~第四、犯罪行動科学、交通の6部があり、それぞれ研究・実験を行っているが、各地からとくに依頼された証拠物件について鑑定・検査も実施している。各都道府県の警察本部には鑑識課があり、さらに常時臨場態勢を確保するため機動鑑識班を設けているところが多い。また、東京、大阪、福岡および北海道には鑑識センターが設置されており、都道府県警察で処理の困難な鑑定・検査に応じている。さらに、各警察署には鑑識係が置かれ、現場資料採取、被疑者指紋原紙・写真票作成、鑑識課への照会などの仕事にあたっている。

 犯罪鑑識は、技術による鑑識と組織資料による鑑識に大別される。前者は、法医学・化学・物理学・薬学・機械学・心理学などの科学的知識・技術を利用して犯罪の証明、犯人の発見に寄与するもので、血痕(けっこん)、体毛、毒物、繊維、塗膜片、土壌、弾丸、爆発物、筆跡、文書、音声、指紋、足痕跡、さらに人の供述などについて行われ、きわめて広い範囲にわたっている。後者は、全国から収集した資料を一定の基準に従って整理・保管しておき、これを個々の犯罪捜査に活用する方法である。指紋、犯罪手口、被疑者写真などが制度化されている。

[小松 進]

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精選版 日本国語大辞典「鑑識」の解説

かん‐しき【鑑識】

〘名〙
① 物事の性質、善悪美醜などを見分けること。また、それらを鑑定する能力。めきき。
※舎密開宗(1837‐47)内「亦寸度及び十分寸の度を画む瓦斯の性質を鑒識するに用ふ」 〔塩鉄論路〕
② 犯罪の捜査で、筆跡、指紋、骨格、血痕などを科学的に鑑定すること。犯罪鑑識。また、警察の鑑識課。
※新版大東京案内(1929)〈今和次郎〉市政と事業「捜査、就中(なかんづく)鑑識(カンシキ)ときたら、当代科学の精をきわめたどえらいものと云はれてゐる」
③ 美術工芸品の価値真贋(しんがん)、制作年代などを判別すること。

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デジタル大辞泉「鑑識」の解説

かん‐しき【鑑識】

[名](スル)
物の真偽・価値などを見分けること。また、その能力。「鑑識眼」
犯罪捜査で、筆跡・指紋・血痕けっこんなどの資料を科学的に調べること。また、その係。「鑑識課」
[類語]識別鑑別鑑定弁別判別峻別選別種別差別見分ける認識

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普及版 字通「鑑識」の解説

【鑑識】かんしき

善悪や価値を見分ける。〔塩鉄論、殊路〕和氏(くわし)の璞(はく)は、天下の美寶なり。鑑の工を待ちて、而る後にらかなり。

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