移牒(読み)イチョウ

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精選版 日本国語大辞典 「移牒」の意味・読み・例文・類語

い‐ちょう‥テフ【移牒】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「移」は直属関係にない官司が取りかわす文書、「牒」は官司から、官司に準じる所または官司でない所に出す文書をいう )
  2. 「移」と「牒」。
    1. [初出の実例]「上官公文及案移牒則印」(出典:貴嶺問答(1185‐90頃))
  3. ( ━する ) 一つ官庁から管轄の違う他の官庁に通知すること。また、その文書。〔袖珍新聞語辞典(1919)〕〔金史‐僕散忠義伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「移牒」の意味・わかりやすい解説

移牒 (いちょう)

古代公文書の一つ。統属関係にない官司間相互で往復する文書として,公式令ではが定められていたが,僧綱三綱が官司と交わす文書は移の様式により,〈移〉字の代りに〈〉字を用いよとあるところから,その文書を移牒といった。
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普及版 字通 「移牒」の読み・字形・画数・意味

【移牒】いちよう

通告する。

字通「移」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の移牒の言及

【移】より

…統属関係にないといっても,省被管の寮司が直接他省(司)に移を送ることはできず,まず所管省に上申して,その省より他省(司)に移を伝達するのが原則であった。僧綱,三綱が諸司と往復する文書は,この移の様式によって,移字を牒の字に代える規定であった(移牒)。移は奈良時代にはよく用いられ,正倉院文書に多くみられるが,律令制の衰退とともに使用も減り,互通文書としては僧綱等と官司間で用いられた移様式の牒が一般化し,移は平安末期以降はみられなくなった。…

※「移牒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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