穴倉村(読み)あなくらむら

日本歴史地名大系 「穴倉村」の解説

穴倉村
あなくらむら

[現在地名]美里村穴倉

きようヶ峰中腹の南東にあり、穴倉川の両岸に小集落が点在する。家所いえどこ村の北西高座原こうざわら村の南にあたる。当村の村名については「五鈴遺響」に「旧名荒倉ナリ」といい、「三国地志」は「穴倉或荒蔵、神鳳鈔作荒倉」と記し、「神鳳鈔」に載せる「荒倉御薗」を当村に比定している。文禄検地帳を転記したと思われる伊勢国中御検地高帳には「荒倉村」、慶安郷帳(明大刑博蔵)には「荒倉あなくら村」となっており、元禄郷帳で初めて「穴倉村」と現れ、以後はすべて穴倉村となるが、村内には東部高座原村との境界付近に上荒倉かみこうそ・中荒倉・下荒倉の小字名が残る。

荒倉御園は、正嘉元年(一二五七)九月一三日付の官宣旨案、同年一二月二一日付祭主大中臣隆世起請文案、文永一一年(一二七四)正月日付般若蔵供僧権律師良祐等申状写(ともに光明寺古文書)などに現れるところで、これらによると、この御園は神税上分三石三斗を納めてきたのであるが、「管領之仁」なきためその勤めも欠けることがあるので、県徳継がこれを子孫に相伝することとするとともに、去る建長年間(一二四九―五六)前太政大臣西園寺実氏が神宮へ献上した宋本大般若経一部を転読する料として、毎年一〇石を納めることを申出で、宣旨によって承認されたものであった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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