出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
古代、中世に存した伊勢(いせ)の神宮神領の一種のこと。本来は神に供える野菜類を栽培する土地のことであり、現在も三重県伊勢市二見(ふたみ)町溝口に1万9969平方メートルの神宮御園に、神に供える季節に応じた野菜、果物を多種にわたり栽培している。それとは別に古く律令(りつりょう)体制の崩壊とともに、神宮経済を支えた神郡・神戸(じんこ)(かんべ)の制にも変化を生じ、神宮祠官(しかん)の手によりいわば自墾地系の神領が開発され、それを御厨(みくりや)、また御園と称した。この場合、御厨、御園の実質的な区分はほとんどなかった。また古代末期よりは豪族領主層、さらに武士団などよりの寄進地系御厨、御園が増加して全国各地に及び、鎌倉幕府はそれをよく安堵(あんど)した。しかし、中世末にはそれも奪略されて崩壊、近世は朱印領によった。
[鎌田純一]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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