AlN(40.99).工業的には,ボーキサイトとコークスの混合物を,窒素中で電気炉で高温・高圧で反応させると得られる.
Al2O3 + N2 + 3C → 2AlN + 3CO
移動床炉で,Al粉末を N2 と,1600 ℃ で反応させても得られる.薄膜は化学蒸着(CVD)法でつくられる.
AlCl3 + 4NH3 → AlN + 3NH4Cl
純粋なら無色の結晶.市販品は灰色~灰青色.六方晶系,ウルツ鉱型構造.密度3.06 g cm-3.Al-N1.89~1.92 Å.∠N-Al-N101~110°.融点2760 ℃(N2 圧5 MPa).2000 ℃ 付近から昇華圧が増加し,2200 ℃ 以上で分解する.モース硬さ9~10.固体は電気抵抗が大きく(1010 Ω cm),絶縁耐力も高い( > 20 kV mm-1).セラミック材料としては非常に高い熱伝導率を示す(320 W m-1 K-1).熱放射率も大きく,放熱性が高い.Siに近い熱膨張係数をもつ.圧電性もある.水では室温で徐々に加熱すると,すみやかに分解してNH3を発生し,Al(OH)3を生成する.酸と反応する.アルカリ溶融でも分解する.半導体エレクトロニクス材料(IC放熱用基板など),AlN圧電膜は携帯電話機用共振器フィルターに使われる.広いバンドギャップ(6.2 eV)を利用する紫外LED,レーザー素子の研究が進められており,波長210 nm の発光が確認されている.[CAS 24304-00-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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