立法論解釈論(読み)りっぽうろんかいしゃくろん

改訂新版 世界大百科事典 「立法論解釈論」の意味・わかりやすい解説

立法論・解釈論 (りっぽうろんかいしゃくろん)

一定目的を実現するために立法によって制定法文言を変更し,または新たな制定法を設けるべきだとする主張立法論である。これに対して現在ある制定法の文言から出発してそれに基づく解釈に終始することを解釈論という。通常は,〈解釈論としてはこういわざるをえないが,立法論としてはこうあるべきだ〉〈立法論としてはいえても解釈論としては無理である〉とか,立法論の形で主張すべきものを解釈論の形で主張している者に対して,〈その主張は解釈の枠を超えている〉といった表現によって,立法論と解釈論を区別するが,両者を区別する境界線はつねに明確であるわけではない。しかし法的安定性と予測可能性を重視するならば,立法論と解釈論の区別を十分考慮する必要がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 安定性 桂木

日本大百科全書(ニッポニカ) 「立法論解釈論」の意味・わかりやすい解説

立法論・解釈論
りっぽうろんかいしゃくろん

実定法の範囲内で妥当な解釈を主張するのを解釈論といい、実定法の枠を超えて正しい法のあり方を求めるのが立法論である。これに対応するラテン語de lege ferenda(立法論)は「つくらるるべき法において」、de lege lata(解釈論)は「つくられた法において」を意味する。「もうこれ以上は、解釈論の問題ではなく、立法論の問題である」というように用いられる。

長尾龍一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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