改訂新版 世界大百科事典 「竹田座」の意味・わかりやすい解説
竹田座 (たけだざ)
大坂でからくりを上演した芝居。1662年(寛文2)に初世竹田近江(おうみ)が大坂の道頓堀に創設した芝居小屋で,1768年(明和5)まで存続した。初めは道頓堀太左衛門橋南詰東入る立慶町にあったが,1733年(享保18)には類焼によって東隣へ移り,63年(宝暦13)には道頓堀岡側へ移転し,小屋自体は明治までつづいた。人形,屋台,道具などが機械,水,糸などの仕掛けによって自然に動くからくりを中心の見世物とし,その間に,女性による狂言,子供芝居,踊りなどを挿入して変化をはかり,大坂道頓堀の名物として観客を集めた。元禄から享保(1688-1736)ごろが最盛期で,同じ道頓堀の他の人形芝居や歌舞伎芝居にも大きな影響を与えた。ことに竹本座では,初世近江の弟の竹田出雲を初世義太夫ののちの座本に迎え,竹田からくりのスペクタクル性を舞台にとり入れ,義太夫浄瑠璃の全盛時代を出現させた。
執筆者:諏訪 春雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報