例えば{1,2,4,8,16,32,……}や{1,1/3,1/9,1/27,1/81,……}のように,隣り合う2数の比が一定である数列を等比数列といい,その一定の比を公比という。上の二つの例では公比はそれぞれ2,1/3である。初項(第1項)がa,公比がrである等比数列の第n項anはan=arn⁻1となる。また,この等比数列の初項から第n項までの和Snは,
で与えられる。等比数列a,ar,ar2,……,arn⁻1,……をこの順に形式的に加号(+)で結んだ式,
a+ar+ar2+……+arn⁻1+…… ……(2)
を等比級数geometric seriesというが,|r|≧1のときはこの無限級数は収束しないから,(2)は具体的な意味をもたない。|r|<1ならばnが限りなく大きくなるときrnは0に限りなく近づくから,(1)のSnの値は,S=a/(1-r)に限りなく近づく。このSの値を|r|<1のときの無限等比級数(2)の和という。一般に級数の第1項から第n項までの和Snをその級数の部分和というが,等比級数の部分和の公式は(1)にほかならない。なお,等比数列そのもののことを等比級数,または幾何級数ということがある。
→級数
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
一つの数に、一定の数を次々に掛けていってできる数列。幾何数列ともいい、G. P.(geometric progression)と書くこともある。最初の数を初項、次々に掛ける一定数を公比という。初項をa、公比をrとするとき、その第n項anは、
an=arn-1
と表される。とくに、三つの数a1,a2,a3が等比数列をなすとき、間の数a2を等比中項という。等比中項は両端の数a1、a3の相乗平均(幾何平均)で表される。すなわち
である(符号はどちらもありうる)。公比rが1の場合は、この等比数列はa,a,a,……となり、第n項までの和はnaである。r≠1のとき、初項a、公比r、項数nの等比数列の和をsnとすれば、
である。一般に利息計算で用いられる複利法は、元金a円、利率rとしたとき、一期間ごとに元利合計は
a,a(1+r),a(1+r)2,……
となっていく等比数列をなす。したがって、等比数列、およびその和の公式は、積立貯金、年金、年賦償還の計算などに広く利用される。
等比数列の項が無限に続くものを無限等比数列という。この無限等比数列
a,ar,ar2,……
の項をプラスで結んでつくった式a+ar+ar2+……を等比級数という。この級数は、a≠0ならば|r|<1のときにのみ収束し、その和は
である。この級数は、もっとも基本的な級数として重要である。多くの級数の収束、発散を、無限等比級数との比較において論じることができる。
[竹之内脩]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…項の番号nに対応してanを定める規則が与えられれば,一つの数列が定義される。例えばa,d,rを定数とするとき,で定義される数列は,それぞれ等差数列,等比数列,調和数列と呼ばれる。また,a1とa2が与えられ,an=1/2(an-1+an-2)(n≧3)という規則が与えられれば,すべてのanが順次定まるから,一つの数列が定義される。…
※「等比数列」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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