日本大百科全書(ニッポニカ) 「プラス」の意味・わかりやすい解説
プラス
ぷらす
Sylvia Plath
(1932―1963)
アメリカの女流詩人。ボストンに生まれる。東部のスミス・カレッジ在学中から文才を買われ、卒業後フルブライト留学生としてケンブリッジ大学で学び、英詩人テッド・ヒューズと1956年に結婚する。57年に一時アメリカに帰国、ボストン大学で1学期間ロバート・ローウェルの詩の講義を聴講して、詩風が一変した。それ以前に発表された詩は神話的なものが多く、詩集『巨像』(1960)に収録された。59年にヒューズとイギリスに定住したが、相次ぐ出産や夫の交友関係のため詩作不振となり、煩悶(はんもん)する。62年に結婚を扱ったラジオ・ドラマ『3人の女』を放送。10歳のおりに父親を失った傷手から自殺未遂を繰り返し、ついに63年2月に2児を残して自殺した。自殺前の数週間に熱に浮かされるように書いた作品は、死後『エアリアル』(1965)に発表され、ロバート・ローウェルは序文でその新鮮な告白的スタイルを絶賛した。
[新倉俊一]
『徳永暢三訳『エアリアル』(1971・構造社)』▽『皆見昭・小塩トシ子訳『ジョニー・パニックと夢の聖書 シルヴィア・プラス短編集』(1980・弓書房、鷹書房発売)』▽『水田宗子訳『鏡の中の錯乱 シルヴィア・プラス詩選』(1981・静地社)』▽『徳永暢三訳『双書・20世紀の詩人4 シルヴィア・プラス詩集』(1993・小沢書店)』▽『石黒さえ子訳『母への手紙』(1994・鷹書房弓プレス)』▽『吉原幸子・皆見昭訳『アメリカ現代詩共同訳詩シリーズ シルヴィア・プラス詩集』(1995・思潮社)』▽『長田弘訳『おやすみ、おやすみ 詩人が贈る絵本』(2000・みすず書房)』▽『高田宣子訳『湖水を渡って シルヴィア・プラス詩集』(2001・思潮社)』