等院(読み)とうじゆいん

日本歴史地名大系 「等院」の解説


とうじゆいん

[現在地名]様似郡様似町本町

様似市街地西部、JR様似駅の西側、ほん町の太平洋を望む高台に位置する。帰嚮山厚沢こうたく寺と号し、天台宗本尊薬師瑠璃光如来。いわゆる蝦夷三官寺の一として、幕府によりウス善光寺(現伊達市)・アッケシ国泰こくたい(現厚岸町)とともに一八〇四年(文化元年)に創建された。日高支庁管内最古の寺院である。

蝦夷三官寺が建立された背景には、幕府による対蝦夷地政策の変化があった。幕府は度重なるロシア船の南下や一七八九年(寛政元年)のアイヌ蜂起(クナシリ・メナシの戦)などに対応するかたちで蝦夷島の沙汰松前藩へ委任していた方式を改め、遠国奉行を箱館、次いで松前に置き、直轄する方式をとった。九九年の東蝦夷地・松前地東在上知にはじまる一連の施策がそれである。直轄したうえで、十分な取締を行うのが幕府の眼目であった。宗教政策のうえでもそれは同様で、一八〇二年(享和二年)九月以降、箱館奉行と寺社奉行との間で蝦夷地へ赴く和人に対する宗教統制方法に関する折衝が重ねられ、同年一一月には新規寺院建立の方針が決定した(休明光記)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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