(読み)チク

デジタル大辞泉 「筑」の意味・読み・例文・類語

ちく【筑】[漢字項目]

人名用漢字] [音]チク(呉)(漢)
中国古代の楽器の一。そうに似た形で小さい。「撃筑」
筑紫つくし国。「筑後筑州筑前筑豊ちくほう
難読筑波つくば

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精選版 日本国語大辞典 「筑」の意味・読み・例文・類語

ちく【筑】

  1. 〘 名詞 〙 楽器の一つ。琴に似て小さく、頸(くび)は細く肩はまるく、一三弦で柱(ちゅう)があり、左手で柱をおさえ右手竹尺を持って弦をうって鳴らすもの。中国では、周末から漢初にかけてさかんに用いられた。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
    1. [初出の実例]「奏琴撃筑巡簷滴、更有新翻白雪」(出典:梅渓稿(1521‐28頃)凍雨成雪)
    2. [その他の文献]〔史記‐高祖本紀〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「筑」の意味・わかりやすい解説


ちく
zhu

中国古代から宋代頃までの弦楽器。戦国時代末に北方の燕,斉,趙などで行われた。漢代の筑は箏に似るが頸が細く,5弦をもち竹棒状のもので打鳴らした。のちに 13弦になり,陳ようの『楽書』によれば,唐,宋代の筑は長さ4尺2寸 (約 130cm) ,頸が細く肩が丸く左手で持ち右手の竹で鳴らした。柱で調律し,第1弦黄鐘 (おうしき) 正声から第 13弦黄鐘清声まで十二律により調弦したらしい。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【貴陽】より

…ついで牂牁県,建安県をへ,明代にはじめて貴陽府が設けられ,新貴県に改められた。貴陽府はのちに貴陽軍民府に変更されたが,清には復活,県も貴筑県となった。略称の筑はここからくる。…

【箏】より

…しかし,秦で広く行われていたことから秦箏とも呼ばれ,中国大陸西部に興った秦と箏との関係は密接である。竹製の胴に5弦を張った打弦楽器である筑(ちく)から出たとする説もあり,伝説では秦人の兄弟(父子とも)が25弦の瑟をめぐって争い,12弦と13弦の二つの楽器に分けたために箏の文字があてられるようになったという。後漢時代(25‐220)には中国の一部の地域で瑟に似た箏が用いられたといわれ,山東省出土の画像石に後世の箏の形に近い楽器が描かれていることから,このころより12弦,13弦の箏が用いられ始めたと考えることができる。…

※「筑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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