精選版 日本国語大辞典 「箒き木」の意味・読み・例文・類語
ははき‐ぎ【箒木・帚木】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「はわきぎ」の時代も )
- ① =ほうきぎ(箒木)《 季語・夏 》
- [初出の実例]「ははきぎをまたすみがまにこりくべてたえしけぶりのそらにたつなは」(出典:元良親王集(943頃か))
- ② 信濃国(長野県)園原にあって、遠くからはほうきを立てたように見えるが近寄ると見えなくなるという伝説上の樹木。転じて、情けがあるように見えて、実のないこと、姿は見えるのに会えないこと、また、見え隠れすることなどのたとえ。
- [初出の実例]「その原やふせやに生ふるははききのありとて行けどあはぬ君哉」(出典:古今和歌六帖(976‐987頃)五)
- ③ ( 語頭の二音が同じところから ) 母の意にかけていう。
- [初出の実例]「大后の宮、天の下に三笠山と戴かれ給ひ、日の本には、ははきぎと立ち栄えおはしましてより」(出典:栄花物語(1028‐92頃)駒競の行幸)
- ④ 遊女がひそかにもっている情夫。間夫(まぶ)。
- [初出の実例]「ははきぎとは 間夫と云ふてうなり」(出典:随筆・当世武野俗談(1757)新吉原松葉屋瀬川)
- ① =ほうきぎ(箒木)《 季語・夏 》
- [ 2 ] 「源氏物語」第二帖の巻名。源氏一七歳の夏、五月雨の宵に源氏の宿直所で頭中将・左馬頭らによってかわされた女性論「雨夜の品定め」と、翌日の方違えに空蝉をかいまみ、一度は強引に近づくが、空蝉は二度とは源氏に会おうとしなかったことを述べる。別伝的な巻。