箕は《和名抄》に《説文》を引いて,〈米などの穀物を簸(ひ)て殻,塵などを分け除く器〉とある。ところが《和漢三才図会》には,箕は俗にいう塵取(ちりとり)のことで同じ形をしていても大小によって区別があるとした後,米を簸る箕について,〈泉州上村より多く之を作り出す。楮(こうぞ)の皮を割いて経(たて)とし,筱竹(なよたけ)を破りて緯(よこ)とし,織って筵の如くにして箕の形に作り,縁に藤蔓を纏ふ〉と主産地,製法にも触れて解説する。箕は《日本書紀》の神代巻,神武紀にも登場し,すでに古代山人の使用した原始的な道具であった。
一般に箕作の者は下り職とみられたが,茨城県では集落に土着するものを箕作と呼び,村々を移動するものは箕直(みなおし)といって区別した。しかし関東では広く箕直は山窩(さんか)のことをさし,箕を作りまた修繕するところから出た名であった。諸地方にみられる箕作山,箕作翁の伝説も,おそらく彼らの漂泊生活と無縁でない。
執筆者:橋本 鉄男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…移動には冬は南の暖かいところ,夏は北の涼しいところに居をかまえたといい,川漁にたずさわる集団も多かったようである。なかには九州のミツクリカンジン(箕作勧進)のように,戸籍を持たぬ者が多く,集団から脱落して平地におりた者がはじめて戸籍を持った例もある。集団ごとに統一的組織があって,頭目とか親分のようなリーダーが統率し,掟も強固であったようで,それが平地の人間に奇異な印象を与えた。…
…箕は竹でちり取り型に編んだものが多いが,木製や竹製のものに藤や桜の皮を緯(よこいと)に入れてがんじょうにしたものもある。製作や補修には特別の技術を要するため,〈箕作り〉や〈箕直し〉と呼ばれる特別な人々が村々を訪れて注文に応じていた。箕はインド,中国,朝鮮などアジア大陸部から日本まで見られるが,奄美や沖縄地方にはなく,代りにサンバラなどと呼ばれる円形の底の浅いざるが使用されている。…
※「箕作」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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