日本大百科全書(ニッポニカ) 「粗さ」の意味・わかりやすい解説
粗さ
あらさ
roughness
金属材料を加工して機械部品を製作するとき、その表面を滑らかに仕上げるが、表面には大きなうねりと細かい凹凸があり、前者を表面うねり、後者を「粗さ」または「表面粗さ」という。うねりは工作機械および刃物の変形や振動により、そして微細な凹凸は、加工に用いる工具、加工法の適否、表面のひっかき傷などにより生ずる。表面をそれに直角な平面で切ったときに切り口に現れる曲線を断面曲線という。断面曲線の測定にはフィルター処理を行ったデジタル信号を用いる。これから粗さ成分より波長の長いうねり成分を除いたものを粗さ曲線とよぶ。粗さの程度を表すには、粗さ曲線が用いられる。ある基準長さの間でのこの曲線のもっとも低い谷からもっとも高い山までの高さをマイクロメートル(1000分の1ミリメートル)単位で測定し、これを最大高さといってRZと書く。このほか十点平均粗さRZJISや、算術平均粗さRa、中心線平均粗さRa75、粗さ曲線要素の平均間隔RSm、粗さ曲線の負荷長さ率Rmr(c)(ある高さを超える粗さ曲線の評価長さに対する比率)などで表示される。粗さの測定はルールにより、評価面の全域あるいは部分で行われる。また、表面粗さの程度を設計図面に記入するには旧来は仕上げ記号▽(1~4個)で指定したが、現在は表面性状を表す記号に、加工方法、表面処理、表面性状測定条件、パラメーターなどを書き加えて表示する。
[林 邦夫・中條祐一]