改訂新版 世界大百科事典 「粗紡機」の意味・わかりやすい解説
粗紡機 (そぼうき)
fly frame
紡績工程で練条スライバー(短繊維束)を細くし,軽く撚(よ)りをかけてボビンに巻き取り,精紡機にかけられる太さの粗糸(ロービングroving)を作る機械。繊維束が細くなると伸ばされたり,切断しやすいので,最小限度の撚りをかけて巻き取る。これをしの巻という。粗紡機には,(1)始紡機,(2)間紡機,(3)練紡機,(4)細練紡機などがあり(構造はいずれもほぼ同じ),昔はふつう(1)~(3),細糸には(1)~(4)が使用されたが,最近では粗紡機,精紡機のドラフト(細くする割合)を大きくし,(1)(2)を一つにした単紡機のみを使用する場合が多い。また精紡機でオープンエンドまたはスーパーハイドラフト方式をとる場合は粗紡機を省いている。フライヤーを回転して撚りをかけるが,ボビンをフライヤーより速く回転して巻き取る形式と,その逆の場合とがある。また,しの巻はかなり大きくなるので,巻取速度を一定にするため,コーンドラム,差動歯車装置などが使われ,またフライヤー,ボビンともに歯車で直接駆動される。
執筆者:近田 淳雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報