粟津貝塚(読み)あわづかいづか

国指定史跡ガイド 「粟津貝塚」の解説

あわづかいづか【粟津貝塚】


滋賀県大津市晴嵐一丁目ほか地先にある貝塚粟津湖底遺跡ともいう。琵琶湖の最南端、瀬田川となって流れ出す付近の水深2~3mの湖底にあり、1952年(昭和27)に漁師が獣の骨などを引き上げたのをきっかけとして、遺跡の存在が明らかになった。1990年(平成2)からの発掘調査によって、魚や動物の骨のほか、土器や石皿、編み籠などが出土し、縄文時代早期の川の跡からクリやトチの実などが見つかり、セタシジミを中心とする約5000年前の縄文時代中期の貝塚も確認された。貝塚では大量の木の実が貝に混じっており、この地域の人々は動物よりもむしろ木の実を多く食料としていたことが判明した。現在は水没しているが、滋賀県立琵琶湖博物館(草津市)には発掘現場が再現され、貝塚の断面を剝ぎ取った展示品があり、シジミの貝層に挟まれたトチの実やドングリの皮の層が観察できる。琵琶湖湖岸へは、京阪電気鉄道石山坂本線京阪石山駅から徒歩約11分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

百科事典マイペディア 「粟津貝塚」の意味・わかりやすい解説

粟津貝塚【あわづかいづか】

滋賀県琵琶湖南部の湖底遺跡。縄文時代早期から中期にかけて形成された集落であるが,現在は水没している。1990年に航路浚渫に伴い集落の東端にあたる第3貝塚の発掘調査が行われ,セタシジミを主体とする貝層と堅果類など植物種子の炭化物層が発見され,当時の食生活を具体的に知る手がかりを得た。

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