翻訳|Diet
高血圧、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化などの病気は、日常生活の積み重ねが発症に影響することから、生活習慣病と呼ばれています。日常生活で最も強い影響を与えるのが、毎日の食事です。
食生活は戦後大きく変化しました。米を代表とする炭水化物の摂取は減少し、脂肪の摂取の著しい増加が特徴です。さらに不規則な食事、栄養の偏った食生活が指摘されています。このようなことが長期にわたると、生活習慣病を招きます。
たとえば、塩分のとりすぎは高血圧の、動物性脂肪のとりすぎは糖尿病や脂質異常症の誘因になります。さらに高血圧、糖尿病、脂質異常症などは動脈硬化を促進させ、最終的に脳卒中や心筋梗塞を引き起こす要因となります。
現在は欧米型食生活になり、脂肪の摂取が多く、ビタミン・ミネラル、食物繊維などの摂取が少なくなっています。とくに外食や接待の多い人は、栄養バランスが崩れがちです。一品料理でなく定食をとる、野菜料理などを追加する、酒をひかえるなどで、適正なエネルギー量とバランスのとれた栄養を、意識して心がけていく必要があるでしょう。
図4に、悪い食事のとり方の代表例を示しました。
食事の時間が不規則だと、体内のリズムを崩して健康に害を与えます。また、朝食抜きなどの欠食を行っていると、必要な栄養が十分にとれません。一方では、欠食するとまとめ食いをすることになり、かえって肥満を招くこともあります。夜遅い食事も、肥満の原因になります。毎日3食を、規則正しくとるようにしましょう。
忙しいからと、早食いするのもよくありません。つい食べる量が多くなり、太りやすくなるといわれます。食事は楽しくゆっくり、よく噛んで食べることが大切です。
一部のがんも、生活習慣病に含まれます。がんの発生要因の70~80%が環境因子といわれ、そのなかでも食生活ががんの原因の3分の1を占めています。健康診断でがんを早期に発見することも重要ですが、むしろがんを起こしにくい食生活を送ることが、非常に大切です。
がんと食生活に関する世界の研究が集大成され、国立がんセンターは、栄養とがんのリスクについての関係を発表しています(表3)。
和田 高士
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…すなわち胃癌の発生が日本の日本人の半分くらいに減少し,他方,大腸癌,肺癌,前立腺癌および乳癌などが著しく増加している。癌の発生原因として,環境因子,とくに食生活の差がいかに大きく関与しているかを示唆する疫学的事実である。 日本の日本人の癌部位別発生頻度も,1960‐80年の20年の間に徐々に変化し,アメリカの白人型に近づいている。…
※「食生活」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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