家庭医学館 の解説
じゅくじょうどうみゃくこうかいがいのどうみゃくこうか【粥状動脈硬化以外の動脈硬化】
■細動脈硬化(さいどうみゃくこうか)
心臓を出た動脈は、何段階にも枝分かれしてだんだん細くなり、最後は顕微鏡で見なければ見えない毛細血管(もうさいけっかん)になります。この毛細血管になる一歩手前の動脈が細動脈(さいどうみゃく)で、直径が100~200μm(マイクロメートル)(1μmは、1mの100万分の1)くらいの太さです。
この細動脈が低栄養状態だと、血管壁成分が弱く、高血圧、高食塩食などにより、血液中のいろいろな成分がしみ込んで変質し、こぶのような動脈瘤(どうみゃくりゅう)ができたり血栓(けっせん)ができたりするのが細動脈硬化です。
血栓がつまり、その先へ血液が流れなくなったり(梗塞(こうそく))、変質した細動脈が破れて出血したり(小動脈瘤破裂(しょうどうみゃくりゅうはれつ))することもあります。
このような合併症が、脳の細動脈におこって、脳軟化症、認知症の原因になることがありますし、目の網膜(もうまく)の細動脈におこって視力障害をおこすこともあります。
この細動脈硬化は、食塩の摂取量が多く、たんぱく質の少ない食生活を送っている人におこりやすいものです。たとえば、お米の御飯と漬物だけで食事をすませてしまうような人におこりやすいのです。
■中膜硬化(ちゅうまくこうか)
動脈を構成している3層の膜のうち、あいだに挟まれている中膜にカルシウムが沈着し、中膜が石灰化する動脈硬化です。
年をとると誰にでもおこる動脈硬化ですが、喫煙、糖尿病、自律神経のはたらきのアンバランス、腎不全(じんふぜん)、カルシウムやマグネシウムの代謝異常などの条件が加わると、進行が速くなります。しかし、粥状動脈硬化、細動脈硬化に比べると、合併症のおこる危険はきわめて少ないものです。