江戸中期の俳人。本名椎名件人(しいなかずひと)。通称兵蔵。慶(けい)氏を称す。別号四時庵(しいじあん)、硯田社(けんでんしゃ)、倚柱子(いちゅうし)、自生庵(じしょうあん)、短長斎(たんちょうさい)、十明庵(じゅうみょうあん)など。幕府御用御鋳物(いもの)師、椎名兵庫(伊予)の次男で、鋳物師として椎名土佐を名のった。不角(ふかく)、白峰(はくほう)、祇空(ぎくう)などに俳諧(はいかい)を学び、四時庵として独立。さらに、1740年(元文5)江戸座宗匠のグループに加わり、俳諧点者の生活に入る。50年(寛延3)高点付句集『武玉川(むたまがわ)』を選んで、軽妙洒脱(しゃだつ)な江戸風を大いに広めた。編著に『平河文庫(ひらかわぶんこ)』『吾妻舞(あづままい)』『雑話抄(ざつわしょう)』などがある。江戸谷中(やなか)・竜泉寺に葬る。なお、紀逸の号は代々継承され、4代幕末に及ぶ。
[岩田秀行]
うつり気の一口づつや花の蝶(てふ)
『前田雀郎著「慶紀逸と『武玉川』」(『川柳探求』所収・1958・有光書房)』
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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