武玉川(読み)むたまがわ

精選版 日本国語大辞典 「武玉川」の意味・読み・例文・類語

むたまがわ むたまがは【武玉川】

俳諧の高点付句集。江戸座俳諧の宗匠慶紀逸撰。寛延三年(一七五〇初編刊行撰者の死没した宝暦一一年(一七六一)まで一五編を続刊した。紀逸没後は二世紀逸が安永五年(一七七六)刊の一八編まで編んだが、それ以後は絶えた。「柳多留」に多く影響を与えた。

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デジタル大辞泉 「武玉川」の意味・読み・例文・類語

むたまがわ〔むたまがは〕【武玉川】

江戸中期の雑俳集。18編。15編まで慶紀逸けいきいつ、16編以下は2世紀逸編。寛延3~安永5年(1750~1776)刊。江戸の俳諧の高点付句を集めたもので、「誹風柳多留」などに影響を与えた。

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改訂新版 世界大百科事典 「武玉川」の意味・わかりやすい解説

武玉川 (むたまがわ)

俳諧高点付句集。1750年(寛延3)から56年までに10編,以後《燕都枝折(えどしおり)》と改題して5編,紀逸撰。1771年から76年まで2世紀逸撰で3編,計18編となる。選句の中から前句を略した秀逸な付句を編んだもので,俳諧だから17音の長句と14音の短句が混在しているが,短句に寸言の鋭さがあるので,〈武玉川調〉などと呼ばれ,川柳点に直接影響した。〈鳶までは見る浪人ゆめ〉。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「武玉川」の意味・わかりやすい解説

武玉川
むたまがわ

江戸中期の俳諧(はいかい)書。紀逸(きいつ)編。初編1750年(寛延3)刊~10編56年(宝暦6)刊。書名は、古歌で著名な六つの玉川のうち、武蔵(むさし)の玉川を意味し、江戸座俳諧の高点付句を抜粋した新企画の本書が、玉川上水のごとく、江戸万人の口を広く潤すようにという意図を込めたもの。五・七・五形式の付句のほかに「恋しい時は猫を抱き上げ」などという七・七形式の付句を含み、余情あふれた佳句が多い。なお、本書の後集として『燕都枝折(えどしおり)』初~五編が編まれ、紀逸没後、この『燕都枝折』をあわせて『武玉川』初~15編とし、さらに16~18編が追加編集された。

[岩田秀行]

『森銑三著『武玉川選釈』(1984・弥生書房)』

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百科事典マイペディア 「武玉川」の意味・わかりやすい解説

武玉川【むたまがわ】

前句付句集。18編18冊。1750年―1776年刊。慶紀逸(きいつ)撰。11〜15編は《燕都枝折(えどしおり)》と改題して二世紀逸の撰。紀逸が撰した付句のうち高点句を集めたもので,7・7の短句,5・7・5の長句の2種あり,短句が多い。諧謔(かいぎゃく)・風刺の人事句で,のちの《柳多留》に直接的な影響を与えた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「武玉川」の意味・わかりやすい解説

武玉川
むたまがわ

江戸時代中期の雑俳撰集。初編~十五編は慶紀逸 (けいきいつ) ,十六~十八編は2世紀逸が編。寛延3 (1750) 年初編刊。以下毎年続刊,宝暦6 (56) 年十編にいたり,翌年から『燕都枝折 (えどしおり) 』と改題,紀逸没年の同 12年に十五編に達した。没後2世紀逸により明和8 (71) 年から安永3 (74) 年まで刊行。紀逸が自分が撰をした前句付のなかから書きとめておいた佳吟を,前句を省いて編集したもの。

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