納殿(読み)おさめどの

精選版 日本国語大辞典 「納殿」の意味・読み・例文・類語

おさめ‐どのをさめ‥【納殿】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 金銀調度衣服などの貴重品を納めておく所。納戸(なんど)
    1. [初出の実例]「おさめ殿あけて、よきくだ物・からものあげていだす」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
  3. 宮中で、累代御物などを納めておく所。宜陽殿(ぎようでん)内にあったという。〔九暦逸文・承平五年(935)七月二九日〕
    1. [初出の実例]「御袴著(はかまぎ)の事〈略〉おさめ殿の物を尽くして、いみじうせさせ給ふ」(出典源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  4. おさめどのあずかり(納殿預)
    1. [初出の実例]「納殿まさのりが許(もと)に、使ひ残させ給へるつやつや絹五六千疋、例の絹万疋」(出典:栄花物語(1028‐92頃)鶴の林)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の納殿の言及

【納戸】より

…また寝室の意味にも用いられる。古く,宮中や貴族邸などで貴重品を収納した場所を納殿(おさめどの)といった。鎌倉時代に描かれた《春日権現験記》をみると,京都の大火の折,焼け残った家の北側中央に,部屋の片側を竪格子で固め,片側に引手と施錠装置を持った壁で囲まれた部屋があり,これが納戸に当たるものと思われる。…

【弘徽殿】より

…身舎は桁行7間,梁行2間で,四面に廂(ひさし),さらに東面に孫廂がつく。身舎は中央に馬道が通り,南北各3間の二つの部分に分けられ,北の西半は塗籠に造って収蔵施設に用い,納殿という。西廂は南北に細く通じているので,細殿と称する。…

※「納殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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