世界有数の鉱物資源国であるコンゴ民主共和国とその周辺国で採掘された、希少な鉱物およびその派生物。コンフリクトメタルともいう。1990年代から20年以上にわたって紛争が続いているアフリカ中部では、武装勢力によって不法に採掘された鉱物が武器購入や戦闘維持のための資金源となり、紛争を一層長期化させる状況を招いていることから、このようによばれる。
2010年7月、アメリカ政府は、紛争鉱物を製品に使用しているアメリカでの上場企業(外国企業も含む)に対して、証券取引委員会(SEC:Securities and Exchange Commission)への情報開示を義務づける紛争鉱物条項を設けた金融規制改革法(ドッド・フランク法)を成立させた。この法律は罰則こそ設けられていないものの、武装集団に資金的に寄与し、深刻な人権侵害に荷担していないかどうかを確認するためのもので、企業に対して間接的に紛争鉱物の使用抑制を促している。報告を義務づけられるのは、コンゴ民主共和国とアンゴラ、ウガンダ、コンゴ共和国、ザンビア、タンザニア、中央アフリカ共和国、ブルンジ、南スーダン、ルワンダで採掘された紛争鉱物とその派生物を使用する場合である。対象となる紛争鉱物およびその派生物は、(1)電子機器や精密機器などに使われるタンタル鉱石(コロンバイト・タンタライト)、(2)食品の缶やはんだ、集積回路などに使われる錫(すず)石(スズ鉱石)、(3)宝石や歯科用に使われる金、(4)白熱電球やエックス線管、集積回路などに使われる鉄マンガン重石(タングステン鉱石)と、国務長官が追加認定するもの。2014年から部品調達先にまでさかのぼった情報の開示が求められているため、日本企業の多くもその対応を迫られている。日本国内では法制化の動きはみられないが、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)では、2012年(平成24)に「責任ある鉱物調達検討会」を設置し、サプライチェーン全体を通じた日本企業の社会的責任の推進に取り組んでいる。
[編集部]
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